名刀「鬼切丸」を現代技術と漆工芸で再現 木製漆塗太刀が京都・北野天満宮で完成
鬼切丸を木製漆塗太刀で再現 京都・北野天満宮で完成

伝説の宝刀「鬼切丸」、現代の技で木製漆塗太刀として蘇る

京都市上京区の北野天満宮が所蔵する国重要文化財の太刀「鬼切丸(髭切)」を、木製漆塗太刀として見事に再現した作品が完成しました。デジタル技術と伝統的な漆工芸を融合させ、本物と見紛うばかりの精巧な仕上がりとなっています。

平安時代の伝説を継ぐ宝刀

鬼切丸(髭切)は、北野天満宮が所蔵する約100振りの刀剣の中で最も古いとされる宝刀です。平安時代の武将・渡辺綱が鬼を切ったという伝説が残り、祭神である菅原道真が学問の神として名高い一方、武道にも優れていたと伝えられることから、特別な意味を持つ刀剣として大切に保管されてきました。

2027年大祭に向けたプロジェクト

北野天満宮では2027年に25年に一度の大祭「半萬燈祭」が予定されています。この大祭に合わせて、「伝説の太刀」にふさわしい外装を新たに制作するプロジェクトが立ち上がり、木製漆塗太刀はその重要な一環として制作されました。

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プロジェクト実行委員会が制作を指揮し、石川県の「彦十蒔絵道」が実際の制作を担当。スキャニング技術を駆使して生成した3Dデータを基に、北野天満宮の改修時に出た古材を使用して、ほぼ原寸大の木製刀剣が作り上げられました。

伝統技術と現代技術の融合

刀身は漆で木地固めを施した後、銀粉を使用した「研ぎ出し蒔絵」の技術が加えられています。本物では見えにくいと指摘されていた刃文なども丁寧に再現され、細部までこだわりが感じられる仕上がりです。

特に注目すべきは、使用された銀粉の由来です。使用済みの家電製品や携帯電話などから再利用した「都市鉱山」に由来する銀粉が採用されており、持続可能な資源活用という現代的な視点も取り入れられています。

新しい歴史の創造

プロジェクトを統括する前崎信也・立命館大学教授は、「伝統と現代の人々の力が結集し、これまでになかった新しい歴史が生まれています。この作品には数多くの新しい試みが詰まっている」と語り、技術と伝統の融合による文化財再現の意義を強調しました。

特別展で公開中

完成した木製漆塗太刀は、現在北野天満宮宝物殿で開催中の特別展で6月14日まで公開されています。黒檀に漆と銀粉を塗り重ねて再現された鬼切丸・髭切は、はばきを外すと中ごと刀身の境目まで精巧に再現されており、訪れた人々を魅了しています。

このプロジェクトは、単なる複制作ではなく、現代の技術と伝統工芸が融合することで文化財の新たな価値を創造する試みとして、今後の文化財保存・継承の在り方に一石を投じるものとなりそうです。

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