神社愛好家が700か所以上の神社巡りで感じた地域の息づかい
長崎市に住む半田弘美さん(46歳)は、神社愛好家として講演活動などを行いながら、これまでに700か所以上の神社やお堂を訪ね歩いてきた。彼女は「昔の人と同じものを見て、今も変わらない人の思いに接すると胸が熱くなる」と語り、神社巡りの魅力を深く探求している。
神社巡りを始めたきっかけと探訪の範囲
半田さんが神社巡りを始めたきっかけは、長崎検定の勉強中に鳥居の形に地域性があることを知ったことだ。「鳥居を見て歩くうちに、境内の奉納物から当時の人たちの思いや願いが浮かび上がり、もっと知りたくなった」と振り返る。最初は長崎市内の大きな神社を中心に訪れていたが、次第に郊外の小さなお社にも興味を持ち、SNS上の神社地図や登山者のブログを参考に探訪範囲を広げた。現在では長崎県内の時津町や長与町、諫早市、西海市などにも足を運び、県外の神社も訪れている。
小さなお社の魅力と発見の苦労
小さな社を見つけるには苦労が伴うが、半田さんは地元の方に道を尋ねることが多いという。「中には同行してくれたり、由来を説明してくれたりする方もいて、感謝に堪えない」と話す。その魅力について、彼女は「竹やぶをかき分け、斜面から滑り落ちそうになりながらたどり着いた神社が草に覆われていたり、倒壊していたりすることもある。それでも『疫病退散』と刻まれた石碑が奉納されていれば、家族や地区の人たちのために誰かが一生懸命建てたのだと感動する」と語る。特に小さなお社は、地域の人たちの息づかいや生活が感じられて興味をひかれると強調する。
人口減少による維持困難と原爆被害の記憶
一方で、半田さんは不安も抱えている。人口減少などで氏子が減り、神社の維持が困難になっているところがあるからだ。「維持費節約のため、手水に台所のステンレス流しを再利用する神社もある。過疎地の神社は時代を映す鏡で、行く末が心配だ」と憂慮する。また、長崎では原爆被害もあり、爆心地に近い神社は壊滅したが、山王神社のように大クスだけが残った例もある。戦後に再建されたお堂では石造りの観音像と地蔵像だけが残り、うちひしがれた人たちの心の支えになったのではないかと推測する。
今後の抱負と個人の背景
半田さんは今後の抱負として、長崎市内のすべての神社を網羅した情報が不足しているため、周辺地区も含め、これまで訪れた大小700か所の神社マップ作りに挑戦したいと語る。「その中には私の子どもたちと一緒に巡った場所もある。大人になった時、マップを手に思い出してくれたらうれしい」と願う。彼女は長崎市生まれの3児の母で、高校卒業後は県外で就職して結婚し、9年前に家族で帰郷した。2017年に長崎検定1級、2025年に神社検定1級を取得し、神社巡りでは安全第一を心がけ、「必着必帰」とつぶやきながら歩くこともある。4月からは地元の歴史研究団体「琴海史談会」の副会長に就く予定だ。



