渡辺一枝の東京子育て記:小平市での自然豊かな日々
作家の渡辺一枝が、東京・小平市での子育ての日々を振り返る。結婚して2年後に長女が誕生し、その3年後には長男が生まれた。当時の小平市にはまだ田園風景が残り、子育て環境に恵まれていたという。
自然と触れ合う子どもたち
すぐ近くを流れる玉川上水の林では、カブトムシの幼虫を探すのが子どもたちの楽しみだった。家の前にはキャベツ畑が広がり、モンシロチョウが群れをなして舞う光景が日常的に見られた。5月の連休には「八百屋さんに行かない日」と称して、子どもたちと野原に出かけ、食べられる野草を摘むのが恒例行事となっていた。
スミレの花を封じ込めたゼリーを作ると、子どもたちは歓声を上げて喜んだ。絵本の主人公を縫いぐるみで作り、枕元に置いてあげると、娘は魔法が使えるのだと信じ込み、大人になるまでその思いを抱き続けたという。
家族の変化と影響力ある存在
息子が小学生になった年、夫は退職して作家の道へ進んだ。これにより交友関係が大きく変化し、子どもたちは親ではなく、「おじさん」的立場の人の言葉に素直に影響を受けるようになった。渡辺家にとって、信頼する作家の野田知佑さんの存在は特に大きかった。
渡辺自身は社会福祉法人立の保育園をいくつか転園し、重症心身障害児通所施設での経験を経て、設計段階から関わった新設保育園に移っていた。
「不良宣言」と新たな生き方
娘と息子が高校生・中学生になった頃、渡辺は「不良宣言」をした。それまで妻・母として家族の世話を真面目に務めてきたが、これからは自分の生活をもっと大事にすると宣言。休日は心置きなく自分の趣味のために時間を費やすようになった。
人生を変えた一枚のチラシ
新設園に移って6年目、そろそろ退職を考え始めていた時期に参加したシンポジウムで受け取った一枚のチラシが、渡辺の人生を大きく変えるきっかけとなった。詳細は明かされていないが、この出会いが新たな道を開いたことは間違いない。
自然豊かな小平市での子育て、家族の変化、そして自分自身の生き方を見つめ直す過程が、渡辺一枝の東京物語として綴られている。



