思い出の上書き、戸籍から判明した祖父との記憶
思い出の上書き、戸籍から判明した祖父との記憶

先日、ある手続きのため、実家の改製原戸籍を取り寄せた。手書きを含む4通の書類を、目をこらしながら何とか判読した。時間がかかり、軽い疲労感を覚えた。

年数や世代を遡ると、初めて知る事柄や、曖昧だった記憶の詳細が明らかになった。子孫として認識不足をわびながら、一つ一つ目を通した。

祖父との思い出が鮮明に

「じいじ」と呼んで慕っていた祖父との思い出は、5、6歳の頃と記憶していたが、実際は3歳のときだったことが分かった。寒い朝、祖父と一緒に顔を洗い、1枚のタオルで顔や手を交互に拭いた。タオルは生地が薄く、少しごわごわした触感だった。祖父は「水、冷たいのに毎朝顔を洗ってえらいなぁ、正子は」とよく頭をなでてくれた。

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夏には、知り合いの行商の人から花柄のワンピースを買ってくれた。白地に赤紫の小花が全体に広がり、おしゃれなデザインだと子供心に思った。うれしくてスキップしたことを覚えている。祖父は「その小豆色の花、美しいなぁ」とニコニコしていた。

戸籍がつなぐ記憶

祖父は明治21年に生まれ、私が3歳だった昭和26年に亡くなっている。戸籍簿をきっかけに鮮明になった思い出は、私の記憶に上書きされた。祖父が生きた年齢を私はもう追い越した。今度、墓参のときは心から「ありがとう」と伝えたい。

藤谷正子(78) 大阪府泉佐野市

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