レマン湖の思い出と年賀状の絆:40年続いた交流に幕
レマン湖の思い出と年賀状の絆:40年交流に幕 (11.02.2026)

レマン湖の思い出と年賀状の絆:40年続いた交流に幕

年に一度、年賀状を書くたびに、ある種の感慨をもって思い出す人がいます。それは、スイスのレマン湖のほとりで出会った同年配の女性です。もう40年以上も前のことになるでしょう。亡き夫との旅で訪れた際、彼女も母親に欧州を見せたいと、かの地に来ていたのです。

短い出会いが生んだ長い絆

ほんの短時間の会話を交わしただけで、今では顔も思い出せません。しかし、住所を交換したことが、今につながる貴重な交流の始まりでした。東京在住の彼女と、お互い簡単な身辺事情を書いただけの年賀状のやり取りで、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。

それでも、年の初めには、鮮やかによみがえるレマン湖の光景と、そこに確かにいた若き日の私たちの姿が思い出されます。母親をいたわりながら立ち去った彼女の後ろ姿や、夫と分かち合った旅の高揚感を、年賀状は静かに思い出させてくれるのです。

体調悪化による終焉

去年の年賀状には、心臓の手術をして体が弱っていると書かれており、心配していました。今年も懐かしい名前を見つけてほっとしたのですが、そこには貴重な出会いへの感謝とともに、体調悪化のため以後欠礼とも記されていたのです。

激しい目まいの中、それでも律義に事情を知らせる文面に、胸をつかれる思いでした。今年の年賀状に見舞いの言葉をしたためたので、改めて文は出しません。彼女も望んではいないでしょう。

人生の引き算と感謝

人生の引き算は容赦なく進みます。私も同様に、先のことなどわかろうはずもありません。しかし、この40年以上にわたる交流に、深い感謝を込めて終わりとしたいと思います。山田和(88) 大阪市吹田市からのエッセーは、短い出会いが長きにわたる絆を生み、人生の移ろいを静かに映し出す感動的な物語です。