プロ野球2軍に熱視線、中日ドラゴンズ本拠地誘致で自治体が続々名乗り
プロ野球の2軍(ファーム)がいま注目を集めている。本拠地の移転を表明すれば、誘致に名乗りを上げる自治体が相次いで現れる。中日ドラゴンズも公募を発表し、東海地方の自治体が続々と手を挙げている。誘致の表明・検討は計25市町にのぼる(朝日新聞まとめ)。1軍に比べて観客動員も経済波及効果も限られる「2軍」に、なぜ熱い視線が注がれているのか。
ナゴヤ球場の現状とファンの声
4月下旬の週末、中日ドラゴンズ2軍本拠地であるナゴヤ球場(名古屋市中川区)には、試合開始前から青と白のレプリカユニホームを着たファンが行列を作っていた。隣の公園まで列が続き、スタッフが「最後尾」のボードを掲げる光景が見られた。
試合では、次代を担う若手選手に加え、4度の最多勝を誇る涌井秀章投手(39)や、相手の巨人で2度のリーグMVPに輝いた丸佳浩外野手(37)といった有名選手も先発出場し、歓声を浴びていた。
この日の観客は約2500人。鳴り物はなく、白球がグラブに収まる音やバットに弾かれる音が響き渡る。大声を上げれば選手の耳に届きそうな距離感だ。
約7キロ離れたバンテリンドームナゴヤ(同市東区)では昼間に1軍の試合が開催されていたが、「選手が近くで見られてドームよりこっちのほうがいい」と女性客が声を弾ませ、年配の男性客も「外でビールを飲みながら気軽にプロ野球が見られて最高だ」と満足そうな表情を見せた。
ナゴヤ球場は1996年まで1軍の本拠地であり、中日と巨人がプロ野球史上初めて同率首位で最終戦を迎えた「10・8決戦」(1994年)など、数々の歴史的な試合を刻んできた。
子どもの頃からナゴヤ球場で観戦してきたという市内の会社員、伊藤聡一さん(55)は「思い出が詰まった球場だから寂しい。ただ、アクセスが良いところに移転してほしい」と話した。
移転の背景と条件
球団などは、ナゴヤ球場の老朽化や施設拡張の余地が限られていることから、選手育成環境の強化を目的に、2030年代前半の移転を決定した。2026年5月27日に公募を開始し、条件はバンテリンドームナゴヤから車で原則1時間以内、公共交通機関で無理なく来場できる場所で、敷地面積は7~8万平方メートル。メイン球場、サブグラウンド、屋内練習場、選手寮などを必須施設とし、費用負担については自治体の提案を待って決める方針だ。2027年5月ごろに優先交渉権者を決定する予定である。
自治体の誘致活動
自治体の誘致活動はすでに熱を帯びている。愛知県津島市は、名古屋駅から約20分の好立地をアピールし、名乗りを上げた。その他、岐阜県や三重県の自治体も関心を示しており、誘致合戦は激化している。
2軍の本拠地は、1軍に比べて観客動員や経済効果は小さいものの、地域の活性化や球団との連携強化につながると期待されている。また、若手選手の育成拠点としての役割も大きく、将来の1軍戦力の育成に直結する。
プロ野球2軍の新たな本拠地を巡る動きは、今後の地域振興や球団経営のあり方を占う試金石となるだろう。



