大相撲夏場所千秋楽は24日、東京都墨田区の両国国技館で行われ、東小結若隆景(本名大波渥、福島県出身、荒汐部屋)が12勝3敗で大関霧島との優勝決定戦を制し、2022年春場所以来2度目の優勝を果たしました。
25場所ぶりの優勝、技巧派が復活
25場所ぶりの制覇は琴錦、照ノ富士に次いで3番目の長期ブランク。角界屈指の技巧派として知られる若隆景が、大関昇進への一歩を再び踏み出しました。今場所は2横綱2大関が休場し、14日目終了時点で7人が優勝圏内に入る大混戦。看板力士としてただ一人残った大関復帰の霧島は2場所連続制覇を逃しましたが、名古屋場所(7月12日初日、IGアリーナ、中日新聞社共催)では横綱昇進に挑むことになります。
優勝決定戦の詳細
優勝決定戦では、若隆景が押し出しで霧島を破りました。本割で藤凌駕を一蹴し、霧島も勝って迎えた決定戦。11日目に土をつけられたリベンジを果たすべく、夏場所を通じて磨いてきた低い立ち合いから圧倒する相撲の集大成を見せました。頭を低くしながら鋭く踏み込み、おっつけ気味に左で押し込み、右腕を手繰られたところでさらに前進。最後は右で胸元を押し込み、大関を押し出して、小さくうなずきました。
若隆景の苦難と成長
若隆景は初優勝した翌年の春場所で右膝に大けがを負い、東幕下6枚目まで番付を下げました。大関昇進に挑んだ昨年秋場所では首痛、今年春場所前には右肘を痛めました。師匠の荒汐親方(元幕内蒼国来)は出場を相談しましたが、本人は「途中から出るのも最初から出るのも変わらない」と決意。しかし春場所中に腕の筋肉も切れて途中休場しました。
襲いかかる試練は強くなるための養分でした。「けがをする前よりも強くなる気持ちでやってきた」と語る若隆景は、膝が痛ければ上半身や腹回りを鍛え、肘が使えなければ下半身を動かすなど、稽古後もトレーニングを重ね、自らの相撲の動画を見入るストイックな姿勢を貫きました。
家族の支えと優勝インタビュー
優勝インタビューでは、負傷中の送迎や本場所中に料理を最低10品作ってくれる妻の沙菜さんをはじめ、支えてくれた家族の話題になると少し笑みを浮かべました。この日、子どもに「優勝してね」と送り出され、「任せろ」と決意した父。「優勝した姿を見せられて良かった」と約束を守り、安堵した様子でした。
次なる目標は大関とり
次なる照準は、かつて失敗した大関とりです。「そこに向けてやっていきたい」と静かで端的な語り口で語り、最高位に次ぐ地位を頭に描いているようでした。
解説:霧島と若隆景の昇進展望
優勝決定戦の土俵に上がった霧島と若隆景にとって、今場所は一つ上の番付に昇進する第一歩となりました。霧島は賜杯獲得を逃しましたが、若隆景と同じ12勝。横綱審議委員会による昇進への推薦の内規では「大関で2場所連続優勝か、それに準ずる好成績」とされています。次の名古屋場所で優勝すれば、昇進への機運は盛り上がりそうです。
三役に復帰した今場所で12勝を挙げて優勝した若隆景は、大関昇進への起点をつくりました。昇進の目安は「三役として直近3場所で計33勝」とされ、今後の2場所で継続して2桁勝利を挙げれば、大関の地位にも手が届きます。
番付編成を預かる審判部の浅香山部長(元大関魁皇)は、横綱と大関が計4人休んだ今場所の状況も踏まえつつ、両力士の昇進について言及。霧島については「結果と内容のどちらも大事」と語り、横綱昇進に向けて、大の里や豊昇龍を破るなどして13勝や14勝を挙げるようなハイレベルな優勝を求めました。



