インタビュー「文民統制が劣化」 党大会での歌唱、元自衛隊幹部が首相に望むこと
2026年6月2日 6時01分 聞き手 編集委員・塩倉裕
林吉永さん 制服を着た陸上自衛隊員が自民党大会を歌唱で盛り上げた問題。航空自衛隊でかつて第7航空団司令を務めた元自衛隊幹部の林吉永さんは、これは文民統制の劣化を示す事件だと断じる。自衛隊員たちが積み重ねてきた「宣誓」の重さを政治家は認識しているのかと問う林さんが、自衛隊の最高指揮官であり自民党総裁でもある首相に求める一言とは。
現役の陸上自衛隊員が制服を着て特定政党の大会に出演し、歌唱して場を盛り上げた――自衛隊員が政治活動をしてしまったと断定されるべき行為でしょう。自衛隊員が政治的行為をすることは自衛隊法61条で厳しく制限されています。最も責任が重いのは政治家
とはいえ、最も責任が重いのは政治家だと思います。今回の事件を起こしたのは、与党である自民党でした。党の総裁であり自衛隊の最高指揮官でもある高市早苗首相が、自民党大会で重大な規律違反が起きてしまったとの認識を示していないことも問題です。
自衛隊にも政治家にも意識の緩みがあったとの批判が聞かれます。しかし事態はもっと深刻でしょう。自衛隊は特定政党を支持してはならないという法的規律を守ろうとする意識が「無かった」から起きてしまった事件だと思うからです。
とうとうここまでの逸脱が始まってしまったかと、かつて防衛の任務の一端を担った一人として感じています。今回の事件は、日本のシビリアン・コントロール(文民統制)の劣化を示すものと認識すべきです。
隊員たちの宣誓が意味すること
自衛隊員たちは任につくにあたって服務の宣誓をしています。「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め」るとの重い誓いです。そして、その宣誓の中には「政治的活動に関与せず」という文言も含まれています。
国の存亡にかかわる有事にあ…この記事は有料記事です。残り876文字



