相撲の街として知られる東京・両国(墨田区)には、江戸時代から続く歴史や下町情緒を感じられるスポットが数多く点在している。JR両国駅を起点に、徒歩で巡る散策コースを紹介しよう。
リニューアルオープンした江戸東京博物館
駅北側に位置する江戸東京博物館は、改修工事のため長期休館していたが、今年3月にリニューアルオープンした。常設展示室では、江戸時代の芝居小屋「中村座」の精巧な復元模型を見学できる。また、かつて娯楽施設として親しまれた「浅草花屋敷」の明治時代の門も新たに復元され、門をくぐるとまるでタイムスリップしたかのような感覚に浸れる。
明暦の大火と回向院
「江戸ゾーン」では、1657年に発生した「明暦の大火」を伝えるパネルや絵図が来館者の目を引く。この大火では市中の約60%が焼失し、死者は10万人以上とも言われる。犠牲者を悼むために創建されたのが、両国の回向院だ。博物館を後にし、両国国技館を右手に見ながら寺へと向かう。
境内には明暦の大火のほか、浅間山大噴火や関東大震災で亡くなった人々の供養塔が立ち並ぶ。本堂の阿弥陀如来の台座には、大火の犠牲者の名前がびっしりと刻まれている。住職の本多将敬さんは無縁仏を「無縁さま」と呼び、「ひとつの命として思いを持ち、存在したことを忘れてはならない」と語り、手を合わせていた。
相撲の聖地・両国国技館と力塚
江戸時代からこの地で相撲の興行が開かれ、1909年には旧両国国技館が建設された。現在の国技館の近くには、相撲の年寄を慰霊する「力塚」の石碑があり、訪れる人の絶えない。
相撲写真資料館で歴史を振り返る
寺の近くにある工藤写真館に併設された「相撲写真資料館」を訪ねた。初代店主の故・工藤哲朗さんらは日本相撲協会の専属写真家を務め、貴重な写真を多数所蔵している。横綱昇進時に双葉山をスタジオで撮影した戦前の一枚や、大関朝潮の断髪式ではさみを入れる横綱千代の富士を写したカットなどが展示されている。
写真館にはかつて、近所の時津風部屋に所属していた大関北葉山らが夕涼みに訪れたという。資料館を管理する2代目店主の妻、工藤敏子さんは「ご苦労さまと、お茶や牛乳を出しました」と懐かしそうに振り返る。
訪問情報
相撲写真資料館の開館日は毎週火曜日。東京での1月、5月、9月の大相撲開催中は毎日開館している。



