野沢温泉村、スキー王国の伝統が生んだ五輪の栄光
ミラノ・コルティナオリンピックで、スキージャンプ混合団体と女子個人ノーマルヒルの二つの銅メダルを獲得した丸山希選手(北野建設)が、高梨沙羅選手(クラレ)とともに18日に帰国した。丸山選手の出身地である長野県北部の野沢温泉村は、1994年リレハンメル大会以来、32年ぶりのメダル獲得に沸き立っている。
人口3600人の村から17人の五輪選手
野沢温泉村は、約3600人の小さな村ながら、冬季五輪選手を17人も輩出してきた「オリンピアンの村」として知られる。この伝統は、100年以上の歴史を持つ野沢温泉スキークラブに支えられている。1924年に開設された野沢温泉スキー場は、村民総出でワイヤを運び上げ、リフトを設置した逸話が残るほど地域一体となって発展。現在では44の多彩なコースを擁する国内トップクラスのゲレンデに成長し、シーズン中は国内外からの多くのスキー客でにぎわう。1998年の長野五輪ではバイアスロンの会場にもなった。
スキークラブは選手育成に力を入れ、1992年アルベールビルと1994年リレハンメル両大会のノルディック複合団体金メダリスト・河野孝典さんや、リレハンメル大会ジャンプ団体銀メダリストの西方仁也さんらを輩出。五輪経験者は丸山選手を含めて17人に上る。村では五輪後に故郷に残る選手も少なくなく、スキー場社長やホテルのオーナー、食堂のホール担当など、日常的にオリンピアンと遭遇する機会が多い。上野雄大村長自身もフリースタイルスキー・ハーフパイプのワールドカップ出場選手であり、妻の三星マナミさんは同種目でソチ五輪に出場した。
丸山希選手の活躍と村の熱い支援
丸山選手は幼少時からスキークラブでアルペンの基礎やジャンプを学び、物心両面で村の支援を受けて成長した。今大会でも「私よりも地元が盛り上がっている」とテレビインタビューで語った通り、初出場が決まると村は大会応援実行委員会を発足させ、壮行会やパブリックビューイングを開催。丸山選手がほほえむ応援ポスターは全約1800世帯に各2部配布され、村中に掲示された。
その結果、ノーマルヒルと混合団体で銅メダルを獲得すると、村では喜びが爆発。8位入賞した日本時間16日未明のラージヒルのパブリックビューイングでも、100人以上が会場に詰めかけ、「悪条件にもかかわらず、よくがんばった」と健闘をたたえた。帰国後の羽田空港での記者会見で、丸山選手は「たくさんの人に支えられて飛ぶことができた」と満足そうに語った。
春の帰郷を待つ盛大な祝賀会
五輪後もワールドカップは3月下旬まで続き、丸山選手はすぐに欧州転戦に出発する。村は「春に丸山選手が戻ってきたら、パレードや祝賀会を盛大に行いたい」と計画を進めている。野沢温泉村のスキーへの情熱とコミュニティの結束が、再び五輪の舞台で輝きを放った瞬間だ。
