町田市「国際工芸美術館」計画が全面見直しへ 稲垣市長が異例の予算案訂正を表明
東京都町田市の稲垣康治市長は3月24日の定例会見において、市内の芹ケ谷公園における「国際工芸美術館」(仮称)の建設を柱とする整備事業について、計画を全面的に見直す方針を正式に発表しました。この決定は、物価高による材料費の高騰や度重なる入札不調を主な理由としており、より実現性の高い事業計画へと再構築することを目的としています。
約35億円の大幅減額を含む予算案の訂正
稲垣市長は、現在開会中の市議会定例会へ既に提出済みであった予算案を訂正し、改めて提出する意向を明らかにしました。具体的には、石阪丈一前市長が新年度当初予算案に計上していた「芹ケ谷公園“芸術の杜”推進事業」の約36億円から、約35億8千万円を大幅に減額し、約1千万円とする内容です。この約1千万円は、全体デザインの再検討費用として位置付けられています。
市は3月25日にこの訂正予算案を市議会へ提出する予定です。稲垣市長は会見で、今回の措置を「異例の対応」と認めつつも、「提出済みの議案を訂正し、私の考えを反映させた形で、議会で審議いただくことが行政の長の責任と判断した」と述べ、市民や議会の理解を求めました。
計画見直しの背景と経緯
町田市は、芹ケ谷公園内にある国際版画美術館の近くに、新たに国際工芸美術館を建設する整備事業を進めてきました。しかし、2023年から始まった入札は5度にわたって不調に終わり、事業の先行きに暗雲が立ち込めていました。さらに、周辺住民や一部の市民団体からは、計画に対する説明不足を理由に、見直しを求める声も上がっていたのです。
今年2月の市長選で当選した稲垣市長は、3月9日の就任会見において、「一歩立ち止まって、市民が納得していただく形で進めたい」と述べ、計画の見直しに前向きな姿勢を示していました。今回の発表は、その方針を具体化する形となりました。
今後の展望と市民参加のプロセス
稲垣市長は今後の方針として、市民参加型のワークショップや市民意見募集の機会を設け、施設の配置計画や規模など、全体デザインを再構築していくことを明言しました。これにより、より多くの市民の声を反映した、持続可能で実現性の高い事業計画の策定を目指すとしています。
この計画見直しは、単なる予算削減ではなく、物価高や建設コストの変動といった現実的な課題に対応しつつ、地域の文化振興と公園整備を両立させるための戦略的転換点と位置付けられています。町田市の文化行政の今後の方向性にも大きな影響を与える重要な決定となりそうです。



