町田ゼルビア、アジア制覇へ最終章 ACLEファイナルズで好条件抽選
アジア最強クラブを目指すFC町田ゼルビアの挑戦が、いよいよ最終局面を迎えている。アジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)において、初出場ながら見事にベスト8に進出した同チームは、サウジアラビアで開催される「ファイナルズ」に臨む。対戦相手のレベルが一段階上がる決勝トーナメントを前に、チーム強化を担う原靖フットボールダイレクター(FD)が取材に応じ、抽選結果に対する本音や戦略を明らかにした。
選手のモチベーションはアジア王者の称号
4月11日夕方、町田GIONスタジアムでは柏レイソル戦の終了後、サポーターたちが選手バスを取り囲んだ。「町田の未来、切り開け」というチャント(応援歌)が響き渡り、ファイナルズの舞台であるサウジアラビアへ向かう選手たちを力強く送り出した。
主力選手の相馬勇紀が「ACLEは今年のメインイベント」と語るように、チーム全体がこの大会に照準を合わせてきた。国内のJリーグ百年構想リーグでは、たとえ成績が振るわなくてもJ2への降格リスクがないため、アジア王者の称号を手にできるACLEこそが選手たちの大きな原動力となっている。
前回大会のファイナルズでは、川崎フロンターレがポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナルドを擁するチームと対戦した。世界的なスターと戦える舞台であることも、町田の選手たちの闘志に火をつけている。特に日本代表や海外クラブでの経験を持つ相馬、中山雄太、谷晃生らは「力試しをしたい」と意気込んでいる。
原FDの「念力」が実現 嫌な相手をことごとく回避
町田ゼルビアの初戦は4月18日午前3時(日本時間)に設定されており、14日(日本時間15日)に行われるアルイティハド(サウジアラビア)対アルワハダ(アラブ首長国連邦)の勝者と対戦する。抽選で決まったファイナルズの組み合わせは、町田にとって非常に希望が持てる結果となった。
原FDは、どのクラブも手ごわいという認識を示しつつも、「念じていた通りになった」と好感触を隠さない。具体的には、「(ヴィッセル)神戸と日本勢でつぶし合いはしたくない。アルヒラル(サウジアラビア)も避けたいし、アルアハリ(サウジアラビア)とも違う山の方が良い。ジョホール(ジョホール・ダルル・タクジム=マレーシア)も結構強かったんで、ブリラム(タイ)の方が良いなと思っていた」と語った。
まさに願ったりかなったりの展開となった。日本から出場する神戸に加え、優勝候補のアルヒラル、前回王者のアルアハリはそろって反対の山に振り分けられ、決勝まで当たらない。さらに、1次リーグで0-0で引き分けていたジョホール・ダルル・タクジムまでも反対の山へ。一方、互いに勝てば準決勝で対戦する枠には、消去法で望んでいたブリラムが入った。
運に恵まれた面もあるが、元フランス代表ベンゼマらを擁するアルヒラルと決勝まで当たらない権利を勝ち取れたのは、1次リーグで東地区を首位通過した実力の賜物とも言える。
初出場でベスト8進出の快挙にアジアが驚愕
初出場の町田ゼルビアがみせている快進撃は、アジアサッカー界で驚きをもって受け止められているようだ。原FDは抽選会の会場で各国から寄せられた反応を振り返り、「そもそも、ACLEでベスト16に入ることは難しく、そこからベスト8に進むには2~3度はかかるものだと言われた。初出場でベスト8に入り、ラッキーという風に捉えられていた」と明かした。
暑さ対策と戦術の両立を図る
開催地のサウジアラビアは連日、気温が30度を超える厳しい環境であり、暑さ対策が勝敗を左右する重要な要素となる。原FDは「汗からカリウムが抜けたりするので、栄養面の対策はスピードを上げてやっている」と強調。現地入り後の食事は、1次リーグの海外アウェー時と同様に、ワールドカップ同行歴が豊富な西芳照シェフのサポートを受ける方針だ。
暑さは戦術にも影響を及ぼす。町田は前線から積極的にボールを奪いに行く「ハイプレス」を強みとしているが、体力消耗が激しいため、暑いピッチで継続するには限界がある。原FDはこのリスクも受け入れつつ、強みであるハイプレスに勝機を見いだす。「相手チームはおそらくうまい。ヨーロッパでプレーしていた選手たちは間違いなくゆっくり回すでしょう。だから(前線から)規制をしないと、どんどん(DFラインが)下がってしまう。うちも最近は(自陣に)引き込みすぎてやられているので、なるべく高い位置での守備をチームで確認している」と語った。
組織力で金満クラブに挑む
2023年までJ2でくすぶっていたクラブは、J1での上位争いや天皇杯優勝を経て、猛スピードでステージを駆け上がっている。ACLEのファイナルズ進出はその象徴的な出来事だ。
ファイナルズで対戦する中東勢は資金力を生かして有能な選手をそろえているが、原FDは「(予算規模の)桁の違いを組織で上回る」と気後れはない。クラブ史上最も大きな挑戦が始まろうとしている。



