ハイチ初の冬季パラ選手、地震で左足失い逆境乗り越え大舞台へ
ミラノ・コルティナパラリンピックに、カリブ海のハイチから冬季大会初の代表選手が出場する。アルペンスキー男子立位で挑むラルフ・エティエンヌだ。彼は2010年の大地震で左足を失うという逆境を経験しながらも、不屈の精神でパラリンピックの舞台に立つ。
地震で人生が一変、左足切断の苦難
2010年1月、ハイチを襲ったマグニチュード7.0の地震で、エティエンヌは住宅の倒壊に巻き込まれた。気がつくと、両足ががれきに挟まれた状態で宙づりになっていた。彼はその瞬間、「生き延びたら、残りの人生は社会に尽くす」と誓い、必死に祈り続けた。
8時間後に救助されたものの、左足は切断を余儀なくされた。この出来事は彼の人生を大きく変え、自暴自棄に陥る時期もあった。しかし、次第に使命感に目覚め、銀行員として働く傍ら、慈善活動に取り組むようになった。
スキーとの出会いとパラリンピックへの道
転機が訪れたのは昨冬のこと。スキー場で元パラリンピック選手と出会い、その素質を認められたのだ。エティエンヌは「体験を伝え、人々を勇気づけたい」と考え、パラリンピック出場を目指す決意を固めた。
現在、彼は13日に行われる大回転(立位)に出場する準備を整えている。順位へのこだわりはなく、目標はただ一つ。「完璧にスロープを下る」ことだ。彼は「自身の滑りで不可能は存在しないことを証明したい」と意欲を燃やしている。
逆境を力に変えるメッセージ
エティエンヌは、自身の経験を通じて「全てを失っても決して諦めてはいけない」とのメッセージを広めたいと願う。彼の挑戦は、ハイチだけでなく世界中の逆境に直面する人々に希望を与えるものとなるだろう。
ミラノ・コルティナパラリンピックでの彼の滑走は、単なる競技を超え、人間の精神の強さと可能性を示す象徴的な瞬間となるに違いない。



