集まれ馬好き高校生 現場から馬に魅せられた少年たち
親元を離れ、クラスメートと共に競馬界の夢をめざす高校生たちがいる。北海道静内農業高校(静農)は、全国で唯一生徒がサラブレッドを育てる学校として知られ、2026年4月17日現在、多くの若者が馬産地で技術を磨いている。
コンビニでの出会いが運命を変えた
福岡市出身の川原怜玖さん(17)の運命は、中学2年生の時にコンビニエンスストアで決まった。母親が全国的なラーメンチェーンの社長秘書を務めており、たまたまコンビニで社長に遭遇。その縁で佐賀競馬に連れていってもらったことが、すべての始まりだった。
初めて目にした競馬の光景に、川原さんの心は震えた。全力で走る馬の圧倒的な迫力はもちろん、ゴール直前で観客が一斉に歓声を上げる熱狂的な雰囲気に、すっかり魅了されてしまったのである。
その後、紹介されたのが静内農業高校だった。親元を離れる寂しさはあったものの、馬産地で牧場研修を積みながら、馬だけに集中できる環境に強く心を引かれた。現在、川原さんはJRA(日本中央競馬会)の厩務員として調教助手となることを目標に、日々努力を重ねている。将来は、社長の馬を「重賞レース」で勝つ馬に育て上げることが、彼の大きな夢だ。
同志と共に歩む調教の道
クラスには、同じ夢を追う同志がいる。千葉県出身の鈴木珀翔さん(17)も、調教の道を目指す一人だ。鈴木さんはもともと、JRAの騎手になることを夢見ていた。5歳まで過ごした福島県での経験が、その想いを育んだという。
ある日、部活の時間が終わった後、鈴木さんは飼育する「ポーカーフェイス」を引いて厩舎に連れて行く姿が確認された。2025年12月16日午後4時36分、静内農業高校の敷地内で、馬と共に歩む彼の真剣な表情が印象的だった。
授業中に思わず大泣きしてしまったこともあるという鈴木さん。それほどまでに、馬への情熱と将来への想いが強いのである。仲間と共に、時には悩み、時には励まし合いながら、競馬界で活躍する日を夢見て、今日も馬と向き合っている。
全国から集う若き挑戦者たち
静内農業高校には、東京や福岡など全国各地から、馬に関わりたいという想いを抱いた高校生が集まっている。彼らは親元を離れ、共同生活を送りながら、馬の飼育管理や調教技術を学んでいる。
この学校の特徴は、実践的な教育環境にある。生徒たちは実際にサラブレッドを育て、牧場での研修を通じて、競馬産業の現場を肌で感じることができる。これにより、単なる知識だけでなく、現場で即戦力となるスキルを身につけていくのである。
卒業後は、厩務員や調教助手として競馬界に入る者が多く、中には騎手を目指してさらに修行を積む者もいる。彼ら若き挑戦者たちが、将来の競馬界を支える重要な人材となる日が、そう遠くない未来に訪れるだろう。
馬への深い愛情と、競馬界で活躍したいという強い意志を持った高校生たち。静内農業高校は、そんな彼らの夢を育み、叶えるための貴重な学びの場となっている。親元を離れ、仲間と共に歩む道のりは決して楽ではないが、馬と共に過ごす毎日が、彼らを確実に成長させているのである。



