高校柔道部の存続危機、創部130年の伝統校でも部員は1人に
少子化などの影響により、中高生を中心とした柔道人口が著しく減少している。全国の高校や高等専門学校の柔道部は、ここ20年間で半減する深刻な状況に陥っている。大阪府内の公立高校でも、部員不足から団体戦への出場には他校と連合チームを組むことが必須となっており、柔道部の存続そのものが危ぶまれている。
伝統校の苦境、三国丘高校柔道部の現状
創部約130年の歴史を誇る大阪府立三国丘高校(堺市)の柔道部は、現在部員が2年生の中谷晴磨さん(17)ただ1人となった。同校の柔道部は、1895年の学校創設とほぼ同時に誕生し、過去には全国高校総体(インターハイ)の団体戦に2年連続で出場した実績を持つ。1990年代には部員数が40人を超える時期もあったが、年々減少し、女子部員は2003年にいなくなった。昨年は新入部員がゼロで、中谷さん1人にまで減ってしまった。
平日の練習では、ランニングやストレッチ、筋トレなど一人でできるメニューが中心だ。顧問や外部指導員の指導を受ける際には組み手なども習うが、中谷さんは月2回程度行われる近くの堺工科高校との合同練習を特に楽しみにしている。合同練習では、準備運動の後、乱取りや打ち込みなどの練習に汗を流し、同年代の選手との交流を通じて「負けたくない」という気合が入ると語る。
全国的な柔道人口の激減と大阪府内の実態
全日本柔道連盟によると、国内の競技人口は1964年の東京オリンピックの頃がピークだったとされる。記録が残る2004年の登録会員数は約20万2000人だったが、2024年には約12万3800人と38.7%減少した。特に高校生の柔道離れが目立ち、2004年から57.4%減の約1万6300人まで落ち込んでいる。登録団体数も1552団体と半減した。
大阪府内では、昨年11月の男子新人戦で近畿大会出場権をかけた1部団体戦(5人戦)の出場校は私立の24校のみで、公立高校はゼロだった。2部団体戦(3人戦)では公私立計32校22チームが出場したが、そのうち7チームは複数校で結成する連合チームだった。部員数不足を考慮した措置で、三国丘高校も部員1人の桜宮高校、大体大浪商高校と3校連合チームを組んで出場した。
存続に向けた取り組みと関係者の思い
大阪高校体育連盟では、高校から柔道を始める未経験者向けに白帯だけが出場できる「段外の部」を設けたり、部員数の少ない学校にも門戸を広げるため他校と合同チームで出場できる団体戦を増やしたりしている。同連盟柔道専門部の梅垣穂高委員長は「柔道の普及と強化に向け、SNSでの発信を始めたが、指導者が減少しており、なかなか困難なのが現状だ。大阪中学校体育連盟と連携した取り組みなども検討したい」と語る。
三国丘高校柔道部のOB・OGの存続にかける熱意は強い。1月初旬に行われた恒例の寒稽古には、例年の倍を超える20代から70代までの40人が参加し、歴代部員の名前が並ぶ柔道場で初稽古に励み、中谷さんを激励した。中谷さんは今夏の大会を最後に引退するため、部の存続には新入部員の確保が急務だ。中谷さんは「初心者でも始められ、礼節も学べるスポーツです。人として成長できる柔道の魅力を伝え、仲間を増やしたい」と力を込める。
柔道場の壁には「初心者大歓迎 1年生:募集中!!」「黒帯とれます!!最短3か月」と書かれたホワイトボードが掲げられ、存続への切実な願いが感じられる。関係者は「歴史と伝統がある部。何とか存続してほしい」と危機感を募らせている。



