りくりゅう、真の王者への4年間を振り返る 不調乗り越え取り戻した「多幸感」
りくりゅう、王者への4年間 不調乗り越え多幸感

フィギュアスケート・ペアで日本勢初となる五輪金メダルを獲得し、28日に現役引退を発表した三浦璃来選手と木原龍一選手(ともに木下グループ)。記者として約4年間、2人を追いかけてきた。最初の印象は、見ている側も自然と笑顔になる演技の魅力だった。世界王者となり、けがや不振を経験し、精神的に成長する中で、2人の演技は徐々に変化していった。特に「五輪で優勝して現役を終えよう」という強い覚悟で臨んだ今季は、力強さがにじみ出ていた。

初めての取材で感じた「多幸感」

「りくりゅう」を初めて取材したのは、2022年11月のグランプリ(GP)シリーズ・NHK杯だった。2人のシンクロ具合に驚くと同時に、幸せな気持ちになった。多くのファンが「多幸感あふれる演技が魅力」と語っていた意味を、その瞬間に理解した。

かつて木原選手は「2人でできることが増え、結果にも表れてきた過程が楽しかった。2人で達成できたうれしさは、シングルの2倍、3倍だ」と話していた。それが、あふれ出る「多幸感」につながっていたのだろう。

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頂点に立った後の変化

しかし、世界の頂点に立ったことで、2人には徐々に変化が現れた。トップを走る重圧が、真面目な2人を追い詰めた。例えば、2024年のGPファイナル。銀メダルを獲得しながらも、木原選手は「話にならない」と厳しい表情で、2人から笑顔が消えていた。

笑顔が戻った瞬間

笑顔が戻ったと実感したのは、2025年3月の世界選手権だった。2人は本番用の衣装ではなく、練習着でフリーの公式練習を行った。理由を尋ねると、木原選手は「璃来ちゃんがタイツをホテルに忘れて」と答えた。本来なら衣装を着てリフトなどの感覚を確かめたかったはずだが、2人は笑っていた。三浦選手が忘れ物をするのは競技に集中している証拠だという。「以前だったら『こんな大事な時期に』となっていたかもしれないが、これが璃来ちゃんだよね」と木原選手。それを聞いて三浦選手は「でも、その後ねちねちしてたじゃん。『スタバのコーヒー、おごりね』って」。2人の間には、いつも通りの「多幸感」が漂っていた。

五輪シーズンの覚悟

迎えた五輪シーズン。楽しさに加え、力強さが宿っていた。特にフリー「グラディエーター」は迫力があった。楽曲自体がパワフルだが、「ずっとこの曲で滑りたい」という2人の強い思いもあったからだと推測する。

しかし、それ以上に2人の覚悟があった。この日の引退会見で、今シーズンの初めから競技生活に終止符を打つと決めていたことを明かした。五輪での金メダルを見据え、徹底した食事管理と体のケアを続けた。メンタル面では完璧を追い求めすぎず、課題を一つずつこなしていった。その覚悟の強さが毎試合、氷上に表れていたのだと、合点がいった。

振り返れば、一歩ずつ王者になっていく過程を取材できた、至福の4年間だった。(蓮野亜耶)

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