【動画】坂本花織が引退会見、笑いと涙の1時間 最後は恒例の自撮りで締めくくる
坂本花織引退会見、笑いと涙の1時間 自撮りで幕

動画【動画】「青春」笑いと涙の坂本引退会見 恒例の”自撮り”で最後の瞬間をカメラに 2026年5月13日 17時27分 (5月13日 19時22分更新)

最後まで坂本花織らしかった。家族やコーチらへの感謝を丁寧に伝え、本人だけでなく報道陣にも笑顔と笑い声、驚きと涙があふれた、表情豊かな約1時間の引退会見だった。

関連記事

坂本花織選手が引退会見、「支えてくれたことに感謝」 結婚も発表、フィギュア最多メダル4個

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

会見の様子

冒頭、所属先が作成した21年間の競技生活を振り返る約3分間の動画が流れた。坂本が「青春」と表現した現役時代の姿を捉えた数々の写真や映像と、中野コーチや母らのメッセージが流れていく。それらをじっくりと見つめるうちに坂本の涙腺がゆるんだ。

現役引退の記者会見に訪れたメディア関係者らと記念撮影する坂本花織さん(右)=神戸市内のホテルで

「スケーターとしての武器はなにか」と問われた際には「武器、武器、武器…」と自問。「スケート人生の前半はジャンプの迫力が持ち味だった」。その後、「スケーティングを学ぶ機会も増え、スケートの伸びや疾走感が武器になってきた」と答えた。続けて、「一言で表すと難しいですね」と苦笑い。「なんかいい言葉、思い浮かびますか? 挙手制でどうぞ」と報道陣へ問いかけ、笑わせた場面に人柄がにじんだ。

最後は驚きも待っていた。「私事ではございますが」との言葉に続いたのは結婚の報告。100人超の報道陣からどよめきが起き、祝福の拍手に変わり、「えへへ」と笑顔。アイスショーに出演した際に恒例となっている”自撮り”で、現役生活最後の瞬間をカメラに収めた。

競技生活の回顧

4回転ジャンプなどの大技はない。一つ一つの技を磨き、出来栄え点を積み重ねてトップに立った。代名詞のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)は高さや着氷後の流れなど坂本にしか表現できない美しさがあったが、獲得するまでに「2年近くかかった」と明かした。

勝ち筋を模索し続けた経験を今後は指導者として伝えていく。「できなくてもすぐに諦めない。勝ちたいんだったら、一生懸命やるしかないんだよ」。尊敬する中野コーチのような厳しさと、周囲を照らすような笑顔を携え次のステージへ歩んでいく。 (蓮野亜耶)

天性の明るさが生んだたたえ合う環境

現役引退の記者会見で笑顔を見せる坂本花織さん

坂本がつくり上げた景色がある。昨年の全日本選手権のフリープログラム。最終滑走だった坂本の演技をライバルや後輩たちが見守っていた。順位は顧みず、坂本が失敗しないように両手を胸の前で組んで祈っていた選手もいた。完璧な演技で優勝を決めると、リンク際の盟友の樋口新葉、後輩の河辺愛菜、松生理乃(中京大)の目に感激の涙があふれていた。

こんな光景を見たのは、後にも先にも坂本のときだけだった。思い返せば、坂本はいつも試合のときに他の選手を抱きしめてたたえる。それが、どんなに悔しい思いをしていてもだ。連覇を逃した25年3月の世界選手権。女王となったアリサ・リュウ(米国)と涙を流しながら抱き合った。

「一度、競技から離れて復活して、世界女王になれたのはすごいこと。相当努力したと思うし、尊敬しかありません」。その言葉には相手への敬意があった。

「みんなに頑張ってほしい」。大会の公式練習後、緊張している選手を見つけると「氷の状態はどう?」と声をかけたり、「一緒に散歩に行く?」と誘ったりした。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ

4度目の頂点に立った今年の世界選手権。会見で海外の記者が「選手間の関係で変化したことや変えていきたいことはあるか」と、選手同士の関係性の変化について尋ねた。坂本は「たたえ合う環境ができたのはよかったと思うし、そのおかげで試合に挑む雰囲気が温かくなる」と答えた。それを聞いた記者は「あなたがそれをつくったのです」と伝えた。

天性の明るさと寄り添える優しさで多くの人を包んだからこそ、あの景色は生まれた。 (蓮野亜耶)