愛知県名古屋市西区にある「名古屋大橋ボクシングジム」で、若者たちに交じってトレーニングに励む一人の女性が注目を集めている。杉山幸子さん、84歳。75歳でボクシンググローブを手にしてから9年、彼女の生活の中心には常にボクシングがある。
ストイックなトレーニング
「やるからには、とことん」という言葉通り、杉山さんの練習は非常に厳しい。週2回、各2時間半のセッションでは、まず体幹トレーニングで体を温め、その後サンドバッグとミットを打ち込む。腕が上がらなくなるまで打ち続け、仕上げに懸垂などの筋トレで心身を追い込む。練習を始めてから体重は10キロ落ち、風邪をひかなくなり、腰痛もほとんどなくなったという。
オンとオフの切り替え
そんなストイックな姿とは対照的に、自宅では読書やお茶を楽しみ、穏やかな時間を過ごす。これが杉山さん流の休息法だ。オンとオフの切り替えが、彼女の元気の源かもしれない。
「息苦しくなることはあるが、きついと思ったことは一度もない」と笑う杉山さんのグローブは、すでに3代目。ジムを運営する大橋弘政会長(46)は「健康寿命を延ばす理想の姿」と語り、その背中は仲間たちの憧れとなっている。
夢は試合出場と100歳現役
杉山さんの目標は、実際に試合に出場することだ。「練習の成果を発揮したい」と意気込むが、年齢と体重が合う対戦相手が見つからず、実現には至っていない。もう一つの夢は、100歳まで現役でボクシングを続けること。限界を決めない84歳の挑戦は、今日も続いている。
写真・文 黒田淳一



