「兄貴分」との初対戦で成長の軌跡を証明
Bリーグ1部(B1)サンロッカーズ渋谷(SR渋谷)のジャン・ローレンス・ハーパージュニア(愛称・JJ)にとって、2026年2月14日から15日にかけて埼玉県越谷市立総合体育館で行われた越谷アルファーズ戦は、特別な意味を持つ一戦となった。昨季までSR渋谷で共に戦い、ハーパーにとって「お兄ちゃんのような存在」だったアンソニー・クレモンズが、今季越谷に移籍。敵味方に分かれての初の直接対決で、ハーパーは自らの進化を鮮明に示した。
クレモンズからの金言「迷わず打つんだ」が転機に
ハーパーは高校時代から抜群の身体能力を生かした守備で注目を集めてきたが、プロ入り後は攻撃時のプレー選択に課題を抱えていた。昨シーズン、島根スサノオマジック戦では終盤に迷いを見せ、相手に警戒されずにシュートチャンスを逃す場面もあった。試合後、ハーパーはクレモンズに「こんな時は打った方がいいのか」と尋ねると、ベテランは即座に「毎回、打つんだよ」と助言。「JJ、迷わず打つんだ。自分も若い頃、同じことがあった。ここで1本決められれば、リズムに乗れるんだ」と励ました。
この言葉がハーパーの意識を大きく変えた。「警戒されないから打たないんじゃない。積極的に打つんだ」と奮起し、今シーズンは飛躍的な成長を遂げている。平均得点は昨季より5.5得点増の6.7得点に向上。3点シュートの試投数は3.1本増え、成功率も15.9ポイント上昇した。アシストも0.9から4.2と倍以上に増加し、司令塔としての役割も果たすようになった。自慢の守備力を維持しながら、攻撃面で大きく姿を変えたのである。
直接対決で見せた成長の証
クレモンズとの初対戦は、ハーパーにとって成長を実感する絶好の機会となった。第1戦では、クレモンズが4本の3点シュートをすべて決め、19得点5アシストでゲームを支配。SR渋谷は75―93で惨敗した。しかし、ハーパーは第2戦で反撃に出る。開始からクレモンズに激しく張り付いてミスを誘発し、味方の得点につなげた。直後には相手陣でクレモンズへのパスを奪い、わずか4秒での3点シュートを成功させるなど、攻守にわたって存在感を発揮した。
特に印象的だったのは、島根戦で迷いを見せた場面と同様のシチュエーションでの対応だ。長身選手を呼んでスクリーンを使い、壁の横から放った3点シュートを決めた。迷いは完全に消え、自信に満ちたプレーを連発。この日は6本の3点シュートを放ち2本を成功させ、SR渋谷の69―62での勝利に貢献した。ハーパーは「満足できる内容ではなかったけど、1プレーでもサップに成長した姿を見せられた」と笑顔を見せた。
兄貴分の認める進化
試合後、クレモンズはハーパーの成長を喜びの表情で語った。「JJの一番の魅力は、学ぶ姿勢を常に持ち続けていることだ。彼が成長したい気持ちを持って努力しているから、ああいうシュートが決まったと思う」。昨年4月に「経験を積めば、B1トップクラスのPGになれる」と評していたクレモンズは、直接対決を通じてその可能性を確信したようだ。
ハーパー自身も、まだ道半ばであることを自覚している。「シュートは打ったけど、いいシュートは半分くらい。ガードとしてチームの雰囲気や試合の流れを読んでプレーしないといけない。もっとゲームの流れを読んで打ちたい」と貪欲な姿勢を崩さない。クレモンズという良き指導者と、それを糧に努力を続けるハーパー。二人の絆が生んだ成長物語は、Bリーグの新たな名場面として記憶に刻まれることだろう。



