東日本大震災の犠牲者を悼み、震災の記憶と教訓を後世に伝えるため、国と県が連携して整備した県復興祈念公園(双葉町、浪江町)を巡り、東日本大震災・原子力災害伝承館(双葉町)は、来館者のフィールドワーク(野外調査)のプログラムに新たに公園を組み込む方向で検討に入った。公園と隣接している立地を生かし、震災と東京電力福島第1原発事故による犠牲者の追悼と記憶の伝承を一体的に進められるようコースの具体化を目指す。
公園と伝承館の連携強化
伝承館から公園の中核を担う国営追悼・祈念施設までの距離は約1.5キロで、来館者が徒歩で訪れることができる。国営追悼・祈念施設を形成する丘の高さは16.5メートルで、これは津波の最大高さ想定に基づいている。中腹の献花広場からは太平洋や第1原発を一望できるため、来館者が犠牲者を悼むとともに、フィールドで学べる場としても活用できそうだ。
被災現場を間近で体感
施設に向かう途中には、震災の津波で被災した建物2棟や流失した住宅の基礎部分を残した中野地区集落エリアがあり、津波の脅威や発災から15年が経過した被災建物の実相に間近で接する効果が見込まれる。このエリアは、震災の生々しい痕跡を今に伝える貴重な場所となっている。
プログラム拡充の課題
フィールドワークのプログラムは2020年9月の開館以来、大きな変更はなかった。公園の面積が46.4ヘクタールと広大な上、伝承館から約2.5キロ先には浪江町の震災遺構「請戸小」もあり、限られた時間内で巡れるルートの構築が課題となる。伝承館では公園を含む周辺一帯を「伝承ゾーン」と捉えており、高村昇館長は「来館者に双葉郡、浜通りがどのような状況かを見てもらうことが伝承の上でも大事。公園や周辺施設と有機的に連携していきたい」と相乗効果につなげていく考えを示した。
この取り組みにより、震災の記憶と教訓をより多くの人々に伝え、追悼の場としての意義を高めることが期待されている。



