記録的大雪が救急対応を直撃 札幌で199件の遅延発生
2026年1月25日、札幌市では統計開始以来最大となる54センチの降雪を記録し、都市機能に大きな影響を与えました。特に深刻だったのは救急医療体制で、この日だけで119番通報に対して救急車がすぐに出動できない事案が199件(速報値)発生していたことが明らかになりました。要請から実際の到着までに数時間を要した事例も複数確認されています。
交通まひが救急車の遅れを招く
大雪による事故や車両のスタックが相次ぎ、市内の主要道路では大規模な渋滞が発生。交通がまひ状態に陥り、救急車もこの混乱に巻き込まれる形となりました。中央区では午後10時までの24時間降雪量が54センチに達し、1月として観測史上最大の記録を更新しています。
札幌市消防局は緊急対応として、以下の対策を実施しました:
- 資格を持つ消防隊員を救急隊に配置転換
- 救急車の稼働台数を4台増加させ、日中は40台体制を構築
- 26日には非常用救急車を1台追加投入
対策強化も根本的解決には至らず
しかし、これらの対策にもかかわらず、救急車の到着遅れは完全には解消されませんでした。ある事例では、付近の救急車がすべて出払っていたため、119番通報から到着までに約3時間を要したと報告されています。
札幌市の雪害対策本部は「救急車の遅れにより、病状の経過などに直接的な影響があった事案は確認されていない」と説明しています。一方で、現場の消防関係者は匿名を条件に「悪路での運転を強いられ、休みなく働き続けた救急隊員の心身の疲労は限界に近かった」と明かしています。
秋元市長が新年度予算で体制強化を表明
秋元克広札幌市長は1月28日、新年度予算案において救急隊を1隊増員する方針を表明しました。しかし、専門家からは「救急車や隊員を増やしても、道路状況が改善されなければ到着遅れのリスクは残る」との指摘も上がっています。
消防関係者は「道路の除雪問題は消防の努力だけでは解決できない。雪の多い大都市として、より積極的で先手を打った対策が必要だ」と訴えています。今回の事態は、大雪都市における救急医療体制の脆弱性を浮き彫りにしました。
記録的な大雪は単なる気象現象ではなく、都市のインフラや緊急対応システム全体に影響を与える複合的な災害であることが改めて認識される結果となりました。今後の雪害対策においては、消防・医療・交通・除雪など多角的な連携が不可欠であることが示唆されています。