花粉症対策で健康経営加速、企業が治療費補助や避粉地勤務を拡充
花粉症対策で健康経営加速、企業が支援拡充

花粉症シーズン到来、企業が従業員支援に本格化

国民の半数近くが悩まされる花粉症のシーズンが再び訪れた。今年の飛散量は全国的に平年を上回ると予測されており、企業の間では従業員の健康管理を生産性向上につなげる「健康経営」の観点から、積極的な対策が広がっている。

福利厚生に花粉症手当を新設

冷凍食品メーカーのクックデリ(大阪)では、昨年から「花粉症手当」を福利厚生メニューとして導入した。治療費の補助や箱ティッシュの無料配布により、従業員の受診ハードルを下げている。同社の男性従業員(49)は「これまでは市販の目薬でしのいでいたが、昨年は病院で処方された薬で症状が和らぎ、デスクワークに集中できるようになった」と語る。

同社がこの制度を設けた背景には、社内アンケートで回答した150人の半数が花粉症に悩み、その9割が仕事に影響があると答えたことがある。昨年は約20人が治療費補助を利用し、今年は補助額を最大4000円から5000円に引き上げ、マスクの無料配布も開始した。

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ウェルビーイング推進室の担当者は「症状が悪化すると味覚に影響し、商品開発などに支障が出る恐れがある。対策をさらに充実させたい」と強調する。

経済損失は1日約2450億円

花粉症による集中力低下が企業活動に与える影響は甚大だ。東京商工リサーチが2024年に約4600社を対象に行った調査では、4社に1社が「業務に悪影響がある」と回答。パナソニックのインターネット調査では、花粉症で1日平均約3.2時間の労働力低下を実感しており、経済損失額は1日約2450億円に上ると推計されている。

健康経営の推進で対策企業が増加

経済産業省が民間と連携して実施した2025年度の「健康経営度調査」では、空気清浄機の設置や治療費補助などの花粉症対策に取り組む企業が、回答全体の3割近い約7700社に達し、前年度比7%増となった。同省は2016年度から健康経営を実践する企業を優良法人として認定する制度を創設し、2023年度には花粉症対策を評価項目に加えている。

避粉地でのリモートワークを支援

飛散量の少ない「避粉地」で仕事ができるようサポートする企業も現れている。IT会社のアイザック(東京)は2022年から、2~4月に沖縄などの避粉地でリモートワークする際の宿泊費や作業場使用料を補助する制度を導入。約15%の社員が利用する人気ぶりで、昨年からは補助額を最大20万円から30万円に増額し、滞在先での託児費用も対象に加えた。

物流会社の北王流通(東京)は2018年度から、集中力低下や眠気の副作用が少ない飲み薬や点鼻薬、目薬をドライバーに紹介し、購入費用の一部を補助している。業務部の担当者は「深夜帯の運転が多いドライバーは、症状がひどいと日中に休息が取れない。健康管理が安全運転につながるため、継続的なサポートを目指す」と語る。

今年の飛散量は平年を上回る見込み

気象情報会社のウェザーニューズによると、今年のスギ花粉の飛散は14日に関東地方で開始。中・四国は2月下旬から3月中旬、近畿は3月上旬から中旬に本格化するとみられる。飛散量は全国的に平年を上回り、福井では平年比1.5倍、大阪、京都、徳島では1.4倍などと予測されている。

同社は、スギ花粉には飛散量が多い「表年」と少ない「裏年」が交互に訪れると説明するが、今年は西日本の多くの地域が裏年に当たるものの、昨夏の高温と日照時間の長さにより雄花がよく成長し、「裏年傾向を相殺している」と分析する。

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専門家が受診を呼びかけ

症状を抑えるには、抗アレルギー作用の飲み薬を中心に、ステロイドの点鼻薬や点眼薬を組み合わせる方法が有効だ。近年は病院での処方薬と市販薬の成分差が縮小しているが、新しい飲み薬や即効性のある注射薬は医療機関でしか処方されない。

関西医科大香里病院・耳鼻咽喉科の浜田聡子診療部長は「症状がひどくなった場合や、受験を控えてしっかり症状を抑えたい場合などは、受診を検討してほしい」とアドバイスしている。