青森市教委が棟方志功の功績を次世代に伝える指導資料集を発行
青森市出身の世界的板画家、棟方志功(1903~1975年)の没後50年を記念し、青森市教育委員会はこのほど、市内の小中学校教員向けに特別な指導資料集を作成しました。この資料集は、棟方志功の芸術的功績と作品の魅力を児童・生徒に効果的に伝えることを目的としており、郷土が生んだ偉大な芸術家の遺産を若い世代に確実に引き継ぐための重要な教育ツールとなっています。
実践的な学習プログラムで版画技法を体験
昨年12月中旬、青森市立野内小学校の5年生17名が図工の授業でこの資料集を活用した版画制作に取り組みました。授業では、棟方志功が独自に発展させた特徴的な技法「裏彩色(うらざいしき)」に焦点を当て、紙の裏側に絵の具を染み込ませて色彩を浮かび上がらせるプロセスを実践しました。
青や紫の絵の具を使って夕暮れの空を表現しようとしていた女子児童は、「グラデーションを作るために、裏側に白色を入れてみました。表にした時にどんな風に仕上がるのか、とても楽しみです」と目を輝かせながら語り、創作活動への意欲を高めていました。
多角的なアプローチで芸術的視野を拡大
この指導資料集は、青森市内の小中学校教員や一般財団法人「棟方志功記念館」の学芸員など約15名が編さんに携わり、没後50年にあたる昨年7月に完成しました。A4サイズで全14ページの構成となっており、小学3年生以上の授業での使用を想定しています。
資料集の内容は、棟方志功の生涯を略年譜付きで時系列に紹介するだけでなく、オランダの画家ビンセント・ファン・ゴッホに憧れて油絵を描き始めた青年期や、国際的な美術展で数々の栄誉を受けた壮年期など、芸術家としての成長過程を詳細に追っています。
さらに、小学生を対象とした学習プログラムでは、裏彩色の実践的体験に加えて、棟方の代表作「二菩薩釈迦十大弟子」や「花矢の柵」などの鑑賞活動も提案されています。これらの作品を通じて、児童たちが感じたことをグループで共有し合うことで、多様な見方や感じ方を受け入れ、芸術的視野を広げる教育的効果も期待されています。
地域全体で芸術文化を継承する取り組み
青森市教育委員会指導課の高安弘大指導主事は、「若い世代が棟方志功の作品や技法を学び、理解を深めることで、まち全体で棟方志功の芸術を盛り上げ、地域の文化遺産として継承していければと考えています」と語り、この取り組みが単なる教育資料の提供を超え、地域全体の文化的振興につながることを期待しています。
この指導資料集の作成は、郷土の芸術家に対する認識を高め、青森市の文化的アイデンティティを次世代に伝える重要な一歩となるでしょう。教育現場での実践を通じて、棟方志功の芸術的遺産が子どもたちの創造性を刺激し、地域の芸術文化の継承に貢献することが期待されています。



