「あのときかもしれない」という問いかけ
福島市出身の詩人、長田弘さんの散文詩「あのときかもしれない」は、「きみはいつおとなになったんだろう」という問いで始まります。自分についての全てのことを自分で決めなくてはならなくなったとき、背がいま以上に伸びなくなったとき、こころの痛みを初めて知ったとき―。長田さんは子どもと大人の境界線について、優しいまなざしで考察しています。
きょうは「こどもの日」。子どもたちが幸せに成長していくために、社会全体でどのように支えていくべきか考えたいものです。
日本の子どもの現状:物質的豊かさと精神的な課題
終戦から80年以上がたち、日本は物質的には豊かになりました。しかし、子どもたちにとって生きやすい国でしょうか。国連児童基金(ユニセフ)は昨年、先進・新興国43カ国に住む子どもの「幸福度」を調査した報告書を公表しました。日本は総合順位が14位で、一見すると平均以上の位置に収まっています。しかし調査結果を詳細に見ると、深刻な問題が浮き彫りになってきます。
日本は子どもの死亡率や肥満の割合が低いことから「身体的な健康度」は調査した国の中で1位でした。一方で「精神的な健康度」は32位と低迷しています。その大きな要因は、若者の自殺率が4番目に高いことでした。
自殺の現状と対策
自ら死を選ぶというのは、あってはならないことです。しかし、厚生労働省のまとめによると、昨年の小中高生の自殺者は全国で538人と過去最多となっており、危機的状況が続いています。
政府は本年度、自治体や学校、児童相談所、医療機関などが自殺防止のために連携する法定協議会の設置を推進する考えです。つらい思いを抱えている子どもを適切な支援につなげていけるよう機能させていかなければなりません。もちろん家族や地域の住民が子どもの異変を察知し、救いの手を差し伸べてあげることも欠かせません。
親子のコミュニケーションの重要性
ユニセフの調査では、親子の会話の頻度も日本は下位でした。親は仕事に追われ、一方の子どもは塾や習い事、そしてスマホなどに時間を取られて日々のコミュニケーションが希薄になっている現状が見て取れます。
最も身近な存在である親との会話は、子どもの感性や社会性の発達のために不可欠です。食事の時間や休日には、できる限り親子で話し合う機会を設けたいものです。
こどもの日に思うこと
きょうは親子で出かけたり、遊んだりという家庭は多いでしょう。子どもが大人になっても、いつまでも記憶に残るような幸せな思い出をつくってほしいと思います。



