80歳の玉置政美さんが主宰する「お達者クラブ」が地域の健康寿命を支える
80歳主宰「お達者クラブ」が地域の健康寿命を支える (21.02.2026)

80歳の玉置政美さんが主宰する「お達者クラブ」が地域の健康寿命を支える

埼玉県久喜市の桜田コミュニティセンターでは、毎月第2木曜日の午前中に、高齢者サロン「お達者クラブ」のメンバーが集まります。「きょうは笑顔咲く咲く体操です」という掛け声とともに、健康運動指導士の動きに合わせて両手を上げ下げし、寒さでこわばった体をほぐしていきます。ジャンケンなどの遊びの要素も取り入れられており、参加者には笑顔が絶えません。

「元気で、楽しく、仲間づくり」をモットーに

お達者クラブは2015年4月、玉置政美さんが地域の高齢者に声をかけてスタートさせました。「元気で、楽しく、仲間づくり」をモットーに、多彩な活動を展開しています。例えば、「歌声喫茶」では大声で歌ってストレスを吹き飛ばし、県警が作成した独自のすごろくゲームで遊びながら防犯知識を学んだり、舞踊会を招いて観賞したりしています。玉置さんからあふれ出すアイデアによって、毎回和やかな雰囲気に包まれています。

定年退職後の地域デビューと活動のきっかけ

玉置さんは現役時代、大手医療機器メーカーのサラリーマンとして朝5時に家を出て全国を駆け回っていました。定年退職が近づくと、「好きなことをやりたい」と考え、認知症の兆候を調べる装置を大学教授とともに開発しました。退職後は出版社から声をかけられ、ライフサイエンス事業部長を任され、健康寿命を延ばすための機器類を全国の市町村に納め、健康指導に当たりました。

お達者クラブを始めたきっかけは、定年退職後の2008年に民生・児童委員を引き受けたことでした。活動を始めてみると、高齢者宅を訪問しても無視される大変さに直面しました。家の呼び鈴を押しても応答がなく、カーテン越しにうかがわれることもありました。インターホン越しに会話ができても「間に合ってます」「結構です」と断られることが多く、一人暮らしの高齢者世帯が増え、話し相手もなく家に閉じこもる姿に、「このままではお年寄りが孤立してしまう」と感じました。

一方で、「老人クラブがあれば」という声はいくつも聞きましたが、実現しませんでした。7年後、玉置さんは自らお達者クラブを発足させ、34人で活動を始めました。

男性の参加促進と認知症予防への取り組み

女性が町内の行事などで人付き合いを保つのに比べ、男性は家にこもりがちで、歩かないため体力が低下し、転んでけがをして寝たきりとなることもあります。そこで、お達者クラブの加入要件には、「歩数計を身につけ、楽しんで歩くこと」が設けられています。歩く時には人の名前でしり取りをし、古い記憶をたどって思い出したその人にまつわるエピソードを添えることで、認知症予防を図っています。

全国から講演依頼が舞い込む

玉置さんの健康づくりの講演依頼は全国から舞い込み、北海道から沖縄まで出向いています。民生・児童委員や自治会向けの講演も県内各地から依頼されています。「どんどん広がり、高齢者が生き生きと活動できるようになれば」と願っています。

玉置さんのユニークな活動は認められ、2017年には日本生命財団から、高齢者による地域貢献活動を顕彰する「生き生きシニア活動」に選ばれました。玉置さんには人を引きつける魅力があり、医療や健康維持の分野に長年関わってきた豊富な知識と、トツトツとした語り口で、健康維持法について「なるほど」とうなずかせる説明力があります。老後をたくましく楽しむヒントを与えてくれる存在です。