南極の平和的かつ科学的利用を話し合う南極条約協議国会議(ATCM)が21日、広島市で閉幕した。32年ぶりの国内開催となった今回の会議では、コウテイペンギンの特別保護種指定など重要な議題が合意に至らず、多くの案件が持ち越される結果となった。
コウテイペンギン保護を巡る対立
個体数が減少しているコウテイペンギンについて、特別保護種への指定が議論されたが、中国とロシアが反対した。両国は海氷減少による生息環境の脅威や保護の必要性は認めたものの、指定以外の方法もあると主張したという。前回に続いての反対で、保護の実現には至らなかった。
全会一致方式の課題
決定権を持つ協議国(現在29カ国)は全会一致方式を採用しており、重要課題がまとまらないケースが近年続いている。今回もベラルーシやカナダ、トルコの協議国入り申請について合意に至らず、いずれも認められなかった。
会議の成果と課題
宇山秀樹・ATCM担当大使は閉幕後の記者会見で、「分断と対立、不確実性の高い時代に目的を共有し、国際協力を進めていくことは果たせた」と述べ、一定の成果を強調した。しかし、気候変動対策や環境保護、増加する観光客への対応など、南極を取り巻く課題は山積している。
南極条約の歴史と日本の役割
南極条約は1959年12月に採択され、1961年6月に発効。領土権主張を凍結し、軍事利用や地下資源開発を禁じ、南極の利用を平和的目的に限ることを定めている。日本は12の署名国の一つで、現在の締約国は58カ国。今回の会議には44カ国から400人以上が参加した。
コウテイペンギンの保護問題は、国際社会の協力の難しさを浮き彫りにした。今後の南極条約会議で、どのような解決策が見出されるか注目される。



