32年ぶりの国内開催、南極条約協議国会議が広島で開幕
32年ぶりに日本で開催される南極条約協議国会議(ATCM)が5月11日、広島市で開幕する。会期は21日まで。平和利用を定めた南極条約の下、紛争のない南極が65年間にわたって守られてきた。世界各地で対立が激化する中、議長国である日本は、広島から平和のメッセージを世界へ発信することも目指している。
会議の焦点となる四つの課題
48回目となる今回の会議の焦点について、議長を務める外務省の宇山秀樹・同会議担当大使は、①気候変動と環境保護、②観光対策、③透明性の向上、④協議国の資格の四つの課題を挙げている。
気候変動と環境保護
近年、温暖化による南極氷床の融解が報告されており、地球環境の変化を捉え、将来の予測に南極観測は欠かせない。宇山大使は「国際協力の重要性を共通認識としたい」と指摘する。しかし、各論となると総意を得るのは容易ではない。例えば、減少しているコウテイペンギンの「特別保護種」指定は数年来議論されているが、中国とロシアが反対し、保護対策の具体化に至っていない。
観光対策と透明性
観光客の増加に伴う環境影響への懸念も重要な議題だ。1990年代には年間約7,000人だった観光客数は近年急増しており、1人当たり83トンの雪解けを加速させるという試算もある。また、南極条約協議国の資格要件の明確化や、意思決定の透明性向上も議論される見通しだ。
広島からの平和メッセージ
宇山大使は「広島は平和の象徴的な場所。南極の平和利用の重要性を世界に発信する絶好の機会」と語る。会議では、南極での船舶油流出などの緊急対応や環境保護の国内法整備の加速も議題となる。



