環境省は、ペットの避難所受け入れに関する自治体向け指針の見直しを進めている。被災者とペットが安心して避難できる体制を整備することが重要だ。
見直しの背景:能登半島地震での受け入れ拒否
国は被災者がペットと同伴して避難することを推奨している。しかし、2024年の能登半島地震では一部の避難所で受け入れが拒否されるケースが発生し、これが指針見直しのきっかけとなった。被災した市町には動物保護を担当する専門部署がなかったため、避難所の開設・運営に当たる部署やスタッフにペット避難に必要な情報が十分に行き渡っていなかったことが一因とみられる。
見直しの主な内容
役割分担の明確化
見直しでは、県や市町村で動物愛護と災害対応を担う部署の役割分担を明記し、連携を求める。具体的には、ペットの避難スペース確保は市町村の災害対応部署が行い、県などの動物愛護部署が避難に必要な情報の発信・収集を担う。県や市町村の担当部署が情報共有を図りながら、災害時の取り組みを整理し、混乱なく実行できるよう準備しておく必要がある。
住み分けの推奨
指針にはこのほか、動物が苦手な人やアレルギーのある人に配慮して、避難所内で人とペットが別々の部屋で過ごす「住み分け」の推奨が盛り込まれる。受け入れ拒否を恐れたり、ほかの避難者に遠慮したりして、飼い主が避難を控えることは避けねばならない。ただ、急ごしらえの対応では衛生面での問題や、無用のトラブルが懸念される。事前に問題の芽を摘み、避難所の充実につながる指針とすることが大切だ。
県の取り組み
県は、市町村ごとに受け入れ避難所があることが望ましいとの考えだ。受け入れに必要な物資や注意点を簡潔にまとめたマニュアルを市町村に配布し、ペット避難への対応を促している。県と郡山市は本年度、環境省が主催する、ペットの避難所受け入れを想定した図上訓練に初めて参加する。県などは訓練で得られた課題やノウハウをほかの市町村とも共有し、各市町村の避難所開設を後押ししてほしい。
情報公開の現状と課題
県によると、ペット受け入れ避難所をウェブサイトで公表しているのは、福島市のみだ。県や市町村は、住民に対して普段から災害時に避難する場所を事前に決めておくよう促しているが、ペットの受け入れ可否が分からなければ、飼い主は避難先を決められない。青森県などは各市町村の受け入れ可能避難所をまとめてウェブサイトに掲載している。県もこうした取り組みを行うことで、飼い主の事前の備えを促していくことが求められる。



