検察官の取り調べ発言問題、嫌疑不十分で不起訴処分に
東京高等検察庁は2026年3月30日、取り調べ中に侮辱的発言を繰り返したとして特別公務員暴行陵虐容疑で刑事告訴された東京地検特捜部の検事(現在は大阪高等検察庁検事)について、嫌疑不十分として不起訴処分としたことを発表しました。
「検察敵視は反社」と発言 太陽光発電会社社長が告訴
告訴したのは、詐欺容疑などで特捜部が2021年に逮捕・起訴した太陽光発電関連会社「テクノシステム」(東京)の生田尚之被告です。生田被告は取り調べで著しく人格を傷つける言動を繰り返されたと訴えていました。
具体的な発言内容としては、黙秘する生田被告に対し「検察庁を敵視するってことは、反社(反社会的勢力)や」「みんな不幸になるんやで、あなたの家族。あなたがうそつけば」などと述べたとされています。これらの発言は、容疑者の黙秘権行使を非難し、侮辱するものとして問題視されました。
最高検が「不適正な点」認定 一方で不起訴判断
最高検察庁は2022年、この取り調べについて「黙秘権行使の非難と捉えられかねない発言や侮辱的な発言などがあった」として「不適正な点があった」と認定していました。当時の上司から検事は指導を受けていたことが明らかになっています。
しかし東京高検は今回、不起訴処分とした理由を「(検事の言動が)著しい精神的な苦痛を与える違法な行為とは認められなかった」と説明しました。東京高検の石山宏樹次席検事は「指導を要する検察権行使であったかという問題と、犯罪行為にあたり違法であるかの問題は別だ」と述べています。
人事処分はなく 被告には懲役11年判決
高等検察庁によると、当該検事は人事上の処分を受けておらず、現在も検事として職務を続けています。一方、告訴した生田被告には今月、東京地裁が詐欺容疑などで懲役11年の判決を言い渡しています。
この事件は、密室で行われる取り調べの在り方や、捜査官の言動の適正性について改めて議論を呼ぶことになりそうです。特に黙秘権を行使する被疑者に対する対応の境界線がどこにあるのか、司法関係者の間で関心が高まっています。



