山林火災で子どもの居場所と学習継続の課題 岩手・大槌の教訓
山林火災で子どもの居場所と学習継続の課題 岩手・大槌

岩手県大槌町で発生した山林火災は、5月29日、発生から約40日ぶりに鎮火した。先の読めない延焼の広がりや1週間にわたる休校により、子どもたちは大きなストレスをため込んだ。大規模な災害が発生するたびに、子どもの居場所の確保が後回しになっているとの指摘が現場から上がっている。大人たちはどう備えればよいのか。災害時などに学校などが業務を継続するための備えはどのようになっているのか。

「家が燃えるんじゃないか」という不安

田中大雅さん(14)=町立大槌学園8年(中学2年)=は、4月22日の火災発生当初、自宅から約200メートル先の山からいくつも上がる煙を目にし、気が気でなかった。自宅がある沢山地区にはその後、避難指示が発令された。炎を上げて燃える山の様子は、ふもとの住民にとって恐ろしい光景だった。

田中さんは4日間、両親やきょうだいとともに車中泊を余儀なくされた。学校も休校となり友達にも会えず、狭い車内で不安な時間を過ごした。避難所となった公民館に設けられた「みんなのこども部屋」に通い、午前9時の開室から午後4時の閉室まで過ごし、紙コップを積み上げる遊びなどに熱中した。田中さんは「外でははしゃげる雰囲気ではなかったが、ここでは全力で楽しんでいいんだと思えた」と振り返る。

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子どものストレス発散の場としての「こども部屋」

発災2日後に設置された「こども部屋」は、子どもたちが安心して遊び、ストレスを発散できる貴重な空間となった。紙カップを使った遊びや、室内を駆け回る姿が見られ、子どもたちの笑顔が戻った。しかし、このような取り組みはすべての避難所で行われているわけではなく、子どもの心理的ケアの重要性が改めて認識された。

子育て世帯が避難所に行かない理由

避難所では、プライバシーの確保が難しく、乳幼児の泣き声や子どもの騒ぐ声が気兼ねになるなど、子育て世帯にとっては居心地の悪い環境であることが多い。そのため、車中泊や在宅避難を選ぶ家庭が少なくない。災害時には、子育て世帯に配慮した避難所運営や、子どもの専用スペースの確保が急務である。

休校・休園がエッセンシャルワーカーに与える影響

休校や休園が長期化すると、医療や介護、物流などのエッセンシャルワーカーが子どもを預けられず、業務に支障をきたす。地域の保育機能を維持するためには、災害時でも迅速に子どもの預かり体制を整える必要がある。

学校のBCP(事業継続計画)の具体化

学校のBCPは、災害時に教育活動を継続するための計画だが、実際には策定が進んでいないケースが多い。大槌町の事例では、休校中にオンライン学習の環境が整わず、学習の遅れが懸念された。学校は、避難所運営との両立や、教職員の確保など、具体的な対策を事前に検討しておくことが求められる。

今回の火災では、町面積の8%以上が焼損し、長期にわたる避難生活が強いられた。子どもの心身の健康を守るためには、行政や地域が連携し、災害時にも子どもの居場所と学習の機会を確保する仕組みづくりが急がれる。

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