海外赴任中に命を絶った息子 母の決意が会社を変えた再発防止マニュアル
海外赴任中に命を絶った息子 母の決意が会社を変えた

2026年5月24日、大阪市に本社を置くプラント大手カナデビア(旧日立造船)の桑原道社長が、富山市の民家を訪れた。出迎えたのは、同社の元社員・上田優貴さんの母、直美さん(55)だった。

息子の死と母の決意

優貴さんはタイ駐在中の5年前、慣れない異国での生活や仕事に追い詰められ、27歳で命を絶った。直美さんは「もう二度と同じ悲劇を起こさせない」との強い決意から、3年後、カナデビアに対して再発防止マニュアルの作成を提案した。

直美さんとカナデビアの社員は10回にわたる会議を重ね、マニュアルを完成させた。桑原社長の訪問は、その完成を直美さんと優貴さんに自ら報告するためだった。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

社長の謝罪と決意

桑原社長は優貴さんの遺影に手を合わせた後、直美さんに向き合い、「これからマニュアルに魂を入れていくのが我々の役割。二度と同じことが起こらないよう、実行で示します」と語った。面会は約1時間半に及び、桑原社長は「自分たちの価値観を若い世代に押しつけていたのではと反省している」とも述べた。

直美さんは「誠実に対応して頂いた。今後をお任せしても大丈夫だと思った」と振り返った。

最後のLINEに感じた違和感

直美さんが優貴さんの訃報を知ったのは、2021年5月1日。カナデビアの担当者から「優貴さんが現地プラントから落下して亡くなりました」との電話があった。思い返すと、息子と最後に交わしたLINEに違和感を覚えていたという。

優貴さんは朝4時から夜遅くまで働き、数分おきに作業内容をノートに記録していた。遺品のノートには過酷な労働の実態が記されていた。

マニュアルの詳細と今後の展望

マニュアルの詳細は、29日午後の記者会見で公表される。遺族と企業がともに並ぶ異例の会見となる。直美さんは「同じ苦しみを味わう家族を二度と出したくない」と話す。

カナデビアはこのマニュアルを基に、海外赴任社員のメンタルヘルスケアや労働環境の改善を進める方針だ。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ