感染症研究が専門の北里大学大村智記念研究所の花木秀明センター長が、新型コロナウイルス対策に関する記事で侮辱され精神的苦痛を受けたとして、大阪大学大学院の忽那賢志教授に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地方裁判所は18日、忽那教授に55万円の支払いを命じました。
判決の概要
判決によると、忽那教授は新型コロナウイルスの感染対策やワクチン接種について情報を発信していました。2023年5月、主に医療従事者を対象としたウェブサイト上で、寄生虫薬「イベルメクチン」について言及し、花木センター長を念頭に「イベルメクチンを推しまくり、その強さたるや突っ張りでブラジルまで突き飛ばされそうなほどでした。畏るべし、某教授氏」などと記載しました。
訴訟の背景
花木センター長は、この記述が自身を侮辱するものであり、名誉を傷つけられたとして、忽那教授に対して損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて提訴していました。東京地裁は、忽那教授の記述が花木センター長の社会的評価を低下させるものであり、侮辱行為に当たると判断しました。
一方、忽那教授側は、表現は批判の範囲内であり、侮辱には当たらないと主張していましたが、裁判所は認めませんでした。賠償額は55万円とされ、謝罪広告の請求は退けられました。
専門家の見解
本件は、新型コロナウイルス対策を巡る情報発信の在り方や、学術的な議論と侮辱行為の線引きが問われた事例として注目されています。感染症専門家の間では、イベルメクチンの有効性を巡って激しい議論が交わされており、今回の判決は表現の自由と名誉毀損のバランスを考える上で重要な一石を投じるものとなりました。



