深掘り「ヒゲ」有効、「まんじゅうや」無効? 選挙得票めぐる難しい線引き
深掘り「ヒゲ」有効、「まんじゅうや」無効? 選挙得票の線引き

「だんごさん」「まんじゅうや」は有効か無効か

昨年11月の茨城県神栖市長選挙で、「だんごさん」や「まんじゅうや」と書かれた票の扱いをめぐり、市選挙管理委員会と県選挙管理委員会の判断が分かれた。市選管はこれらの票を有効と認定したが、県選管は無効と覆した。なぜこのような判断の相違が生じたのか。過去の選挙事例をひもとくと、線引きの難しさが浮かび上がる。

県選管、「だんごやさん」を通称と認めず

神栖市長選は候補者2人の得票が同数となり、くじ引きで当選者が決まる大接戦だった。落選した候補が市選管に異議を申し立て、再点検後に却下されると、県選管に審査を申し立てた。県選管が無効票などを調べ直し、4月28日に出した裁決は、すでに市長として活動する木内敏之氏の当選を無効とするものだった。

木内氏の実家は明治時代に創業した和菓子の「木内製菓」だ。市選管は、一部の人が木内氏を「まんじゅうや」と日常的に呼称しているとし、投票は木内氏を指すと認めた。しかし県選管は、「だんご」や「まんじゅう」が木内製菓の取扱商品として市内で認知されていたことは認めつつも、「氏名に代わる通称とまでは言えない」と判断した。

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公職選挙法の規定と過去の判例

公職選挙法は、候補者の名前以外を投票用紙に書いた場合は無効と明記している。候補者名を丸で囲んだり、「頑張れ」「!」などの文字や記号を付け足したりしても、「他事記載」で無効となる。一方で、通称を書いたり誤字脱字があったりしても、投票者の意思が明白であれば有効にしなければならないとも定めている。

過去には、「ヒゲ」と書かれた票が有効と認められた例がある。これは、候補者が「ヒゲ」の愛称で広く知られていたためだ。また、「カジ」と書かれた票も、候補者の通称として認められた。裁判所は、通称が「社会通念上、当該候補者を指すものとして広く通用している」かどうかを基準に判断してきた。

線引きの難しさ

今回のケースでは、市選管と県選管で「まんじゅうや」が通称かどうかの判断が分かれた。総務省選挙課の担当者は「通称の認定は、地域の実情や選挙管理委員会の判断に委ねられる部分が大きい」と説明する。有効・無効の線引きは、投票者の意思を尊重しつつも、客観的な基準が必要であり、そのバランスが難しい。

木内氏は裁決に納得しておらず、東京高裁に訴訟を提起するという。今後の裁判所の判断が注目される。

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主な判例一覧

  • 「ヒゲ」有効:候補者の愛称として広く認知されていたため。
  • 「カジ」有効:候補者の通称として社会通念上認められた。
  • 「まんじゅうや」無効:通称としての広汎な使用が認められなかった。
  • 「頑張れ」無効:他事記載に該当。