熊本県八代市が発注した新庁舎建設工事をめぐり、特定の建設業者を入札で有利にするよう市に働きかけ、報酬として6千万円を受け取ったとして、同市議で議長経験もある成松由紀夫容疑者(54)があっせん収賄容疑で逮捕された。成松容疑者は今年4月の会見で関与を否定していたが、警視庁の捜査で不正の実態が明らかになりつつある。
入札ルールの改変過程
新庁舎建設の入札は2019年7月に公告され、価格だけでなく技術や実績も評価する「総合評価方式」の一般競争入札で行われた。この方式は全国の公共工事で採用され、過度な低価格競争や談合を防ぐ効果が期待されている。しかし、警視庁の調べによると、評価基準案は受注を狙う前田建設工業の九州支店社員が作成していたという。成松容疑者はこの案をそのまま使用するよう市幹部に指示した疑いがある。
特定業者に有利な評価項目
基準案には、国や県、市町村の庁舎施工実績など、前田建設工業が高い評価を得られる項目が複数含まれていた。一方、競合他社だけが大きく減点される項目も存在した。成松容疑者は「一言一句変更することなく業務を進めるように」と指示し、公正な競争を担保するはずの評価基準が逆に特定業者を勝たせるために利用された構図が浮かび上がる。
成松容疑者は4月の会見で「(疑惑は)でっち上げだ」と主張し、市側への増額指示や金銭授受を否定していた。しかし、警視庁は入札プロセス全体の歪みを解明し、不正の全容を明らかにする方針だ。



