白馬村の民宿再生、4千万円の買収提案に揺れるオーナーの決断と未来
白馬民宿再生、4千万円買収提案に揺れるオーナーの決断 (01.04.2026)

白馬村の民宿再生、4千万円の買収提案に揺れるオーナーの決断

長野県白馬村で民宿を営む伊藤典幸さん(61)は、2、3年前の春、1通の手書きの手紙を受け取った。差出人は「オーストラリア人夫妻から相談を受けている」という人物で、内容は「民宿の土地と建物を4千万円ほどで買いたい」というものだった。

民宿発祥の地における葛藤

伊藤さんが営む「ロッジいとう」は、村のスキー場のふもとに位置する木造2階建ての民宿で、全10室ほどを有する。昭和40年代半ばに両親が開業し、長年にわたりリピーターから愛されてきた。伊藤さん自身は農協に勤めながら手伝い、両親が亡くなった後は妻と共に切り盛りしてきた。

手紙が届いたころ、伊藤さんは身内の体調不良などを理由に、直前に民宿を休業していた。村では、長期間滞在してスキーを楽しみたい外国人による不動産購入が増加していると聞いていた。提示された4千万円という金額は、決して悪くない条件だった。

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後継者難とインバウンド需要の狭間で

白馬村には、後継者難に悩む宿泊施設が数多く存在する。買収提案は、経済的に魅力的な選択肢に見えた。しかし、受け入れることは、住み慣れた村を離れる可能性も意味していた。伊藤さんは「うちが休業していると知って、接触してきたのだろうか」と疑問を抱いた。

迷いの中、伊藤さんは両親が負債を残さずに築き上げた民宿の歴史を思い返した。村は「民宿発祥の地」として知られ、地域の観光を支えてきたが、インバウンド需要の高まりと共に、外国人投資家による不動産取得が進んでいる現実があった。

再生への秘策と地域の未来

伊藤さんのケースは、白馬村が直面する課題の縮図だ。インバウンド需要の拡大は経済的な機会をもたらす一方で、地元住民の生活や文化の維持を困難にしている。民宿の再生には、単なる売却ではなく、持続可能な運営モデルの構築が求められる。

村では、後継者不足を解消するため、若い世代の参入を促す施策や、外国人客と地域社会の共生を目指す取り組みが模索されている。伊藤さんの決断は、個人の選択を超え、白馬村の未来像を映し出すものとなった。

2026年を目処に、民宿再生の動きは加速している。インバウンド最前線で揺れる地元の葛藤は、日本の観光地が抱える普遍的な課題として、解決策が注目される。

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