東京都新宿区で活動する自助グループ「『非行』と向き合う親たちの会(あめあがりの会)」が、今年で設立30周年を迎えた。代表の春野すみれさん(74)は、自身の長女の「荒れ」をきっかけにこの会を立ち上げ、以来、苦悩する親たちに寄り添い続けてきた。「あっという間の30年だった」と振り返りながらも、今後も伴走を続ける決意を語る。
設立のきっかけは長女の荒れ
会の発足は1996年11月。長女の荒れに悩んでいた春野さんは、親しくしていた保育園長の女性に初めて打ち明けた。すると女性は「うちの子もそうだった」と共感し、二人は涙を流しながら語り合った。その経験から「一人で悩む親は他にもいるはず」と感じ、非行に詳しい教育評論家の能重真作さん(4月死去)らの協力を得て会を立ち上げた。
活動の柱は自由な語り合い
会の中心は、親たちが自由に語り合う例会だ。発足が報道されると、九州など全国各地から参加者が集まった。子どもが迷惑をかけた相手への謝罪や警察からの呼び出しなど、親は思いもよらない対応に追われ、周囲に相談しづらい。「顔が真っ青で『死ぬ場所を決めて来た』と話した方が、例会後には表情が和らいで『また来ます』と言ってくれた」と春野さん。活動の必要性を痛感したという。
例会に参加しても子どもの非行がすぐに解決するわけではない。しかし、互いに支え合いながら乗り越えようとする存在が、親たちを前向きにさせた。数年後には、参加者がそれぞれの地元で新たな親の会を立ち上げ、活動を広げていった。
現在の活動と新たな課題
現在、例会は「成人の子の親」「女の子の親」に分けて開催。電話相談(有料)や、薬物、思春期など非行に関わるテーマの学習会も行っている。全国に約30ある親の会が集う交流集会も年1回開催している。
近年、春野さんが気がかりなのは、子どもたちがスマートフォンの交流サイト(SNS)で交友関係を広げ、親が把握しづらくなっている点だ。実際、子どもの非行の背景には、親が知らない交友関係があることが多い。少年は詐欺で現金を受け取る「受け子」など犯罪に関わるケースが増え、少女はホストに貢ぐなど性に関わる問題が少なくない。
「子どもの非行は社会を映している」と春野さん。親が孤立する状況は今も変わらない。「親の心が健康であることが大切。これからも大変な時を乗り越える手助けができたらいい。手助けされた人は、いつか誰かを助ける人になると思うから」。支え合いから生まれる希望を信じている。
会の活動内容
例会は、都内では本例会を毎月第2日曜に千代田区のエデュカス東京で、三多摩例会を2カ月に1回程度で開催。参加費は一般千円、会員・学生・未成年500円。相談電話(電03-5348-7699)は火水木の午後1時~8時(30分2500円)。7月2日には新宿区の新宿NPO協働推進センターで「『非行』『子どもの問題』を考える全国交流集会」を開催(参加有料)。問い合わせは電03-5348-7265。



