名古屋女性殺害事件から26年、遺族が加害者に損害賠償を提訴へ
名古屋女性殺害26年、遺族が賠償提訴へ (29.03.2026)

26年前の名古屋女性殺害事件、遺族が賠償請求を提訴へ

1999年に名古屋市西区のアパートで発生した女性殺害事件で、被害者の夫である高羽悟さん(69)と長男の航平さん(28)が、2026年3月30日に殺人罪で起訴された安福久美子被告(69)に対し、損害賠償を求めて名古屋地方裁判所に提訴する。事件発生から約26年が経過し、遺族は長い年月を経てようやく法的な賠償請求に踏み切ることとなった。

事件の概要と逮捕までの経緯

事件は1999年11月13日、名古屋市西区のアパート一室で、住人の高羽奈美子さん(当時32)が刃物のようなもので複数回刺され、失血死で遺体で発見された。愛知県警察の捜査が続き、2025年10月、奈美子さんの夫である悟さんの高校時代の同級生、安福久美子被告が殺人容疑で逮捕された。現場に残された血痕のDNA型が被告のものと一致したことが決め手となった。

当初、安福被告は容疑を認めていたが、その後黙秘に転じた。名古屋地方検察庁は2025年11月14日から2026年2月27日まで、被告の事件当時の精神状態などを調べる鑑定留置を実施し、2026年3月5日に殺人罪で起訴した。

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賠償請求の焦点となる「除斥期間」の問題

今回の訴訟で大きな論点となるのは、旧民法に定められた「除斥期間」である。これは不法行為から20年が経過すると賠償請求権が消滅するという規定で、事件発生から26年が経過しているため、適用されるかどうかが争われる見込みだ。

高羽悟さんは「これまで賠償請求をしていなかったのではなく、請求する相手がわからずにできなかった。20年で『門前払い』となるのは社会正義に反するのではないか」と訴えている。2020年に施行された改正民法では除斥の考え方はなくなったが、「20年」という壁は「時効」の形で残っており、遺族にとっては大きな障壁となっている。

遺族と支援団体の活動

殺人事件の被害者遺族で構成される「宙の会」は、刑事事件では殺人罪の公訴時効が2010年に廃止された一方で、民法上の時効が残っていることについて「整合性が取れていない」と指摘。長期未解決だった殺人事件の加害者に対しても賠償を求められるよう、法改正を訴え続けている。

高羽悟さんは2009年2月に発足した「宙の会」に参加し、他の遺族とともに支援活動を続けてきた。事件後、悟さんは妻が殺害されたアパートを借り続け、証拠を残し現場検証に備えるなど、真相解明への強い思いを抱き続けてきた。

事件の経緯と今後の展開

事件の主な経緯

  1. 1999年6月:被害者の夫・高羽悟さんと安福久美子被告が同窓会で再会。
  2. 1999年11月:悟さんの留守中、妻の奈美子さんが自宅で殺害される。
  3. 2010年4月:法改正で殺人事件などの公訴時効が廃止される。
  4. 2025年10月:安福被告がDNAの提出に応じ出頭、その翌日に逮捕。
  5. 2026年3月:名古屋地検が安福被告を殺人罪で起訴。

今回の損害賠償請求訴訟は、刑事裁判とは別に民事の場で遺族の権利が認められるかどうかが問われることになる。裁判では、事実認定に加え、旧民法の除斥期間が適用されるか否かが重要な争点となり、今後の判決が注目される。

高羽家にとっては、26年間にわたる悲しみと苦しみを経て、ようやく司法の場で正義を求める一歩を踏み出した瞬間である。社会全体としても、長期未解決事件における被害者遺族の権利保護について、改めて考える機会となるだろう。

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