リベラル化する若者層が保守的自民党を支持する背景 ルール厳格性重視の価値観が浸透
若者のリベラル化と自民党支持 ルール重視の価値観が背景

リベラル化する若者層が保守的自民党を支持する背景

学校教育において「多様性」や「対話」を学び、リベラルな価値観が浸透しているはずの若者世代が、先の衆院選では保守的な自民党を選択した。この現象について、社会学者で東京大学教授の仁平典宏氏は、ルールの厳格な運用を求める意識の高まりが関係しているのではないかと指摘する。

若者のリベラルな意識は確実に定着

朝日新聞と大阪大学の三浦麻子教授によるネット調査によると、リベラルを自認する10代から30代の投票先は自民党が34%で最多となり、最大野党である中道改革連合は1割足らずという結果であった。仁平教授は、若者の間でリベラルな意識が定着していることを認めつつ、その背景を探る調査を実施している。

首都圏のある自治体の中学校に通う生徒約2千人を対象とした民主主義やルールへの意識調査では、顕著な傾向が確認された。調査では「民主主義志向」や「寛容性」をリベラルな価値観の構成要素とし、「権威主義」や「国家主義」「排外主義」を保守的な価値観の要素として設定した。

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具体的なデータとして、「ルールはみんなの話し合いで決めたほうがいい」という民主主義志向について、「まああてはまる」または「とてもあてはまる」と回答した生徒の割合は、2018年の91.2%から2025年には96%へと高い水準で推移している。また、「考え方が違う人も受け入れることができる」という寛容性については、同様の回答が85.8%(2018年)から91.6%(2025年)に増加した。

学校教育の変化が意識形成に影響

仁平教授は、若者のリベラルな意識の高まりの背景には、学校における子どもとの接し方の変化が関係していると分析する。1990年代の暗記より意欲を重視した「新しい学力観」や、2017年の「主体的・対話的で深い学び」、さらに不登校児を守る教育機会確保法に至るまで、個や対話を尊重する改革が進展してきた。

かつて「お花畑」と揶揄された戦後教育学の理念が、ある程度実装されてきたわけです。 と仁平教授は述べ、子どもへの体罰やハラスメントも許容されない方向に社会が変化している点を指摘する。

リベラルな価値観と自民党支持の矛盾

リベラルな価値観が浸透しているにもかかわらず、リベラルを自認する若者が、高市早苗首相率いる自民党を支持する理由について、仁平教授は「ルール厳格性」の意識に注目する。若者たちは民主主義や寛容性を重視する一方で、ルールの厳格な運用を求める傾向が強まっているという。

この価値観の変化は、学校教育の改革や社会の規範意識の高まりと連動している可能性がある。仁平教授の調査は、若者の政治意識が単純なリベラル対保守の二分法では捉えきれない複雑さを帯びていることを示唆している。

衆院選で圧勝した高市政権は、国論を二分する政策を推し進めようとしており、国のかたちがどう変わるのかが注目される。国内外の識者へのインタビューを通じて、日本の未来像が探られている。

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