2026年5月1日、都道府県版ジェンダー・ギャップ指数の経済分野で、高知県が2年連続で全国1位となった。一方、三重県は47位で最下位。一見勝之知事は「女性も男性も働きやすい三重県を実現しないと人口は減るばかり」と危機感を示すが、前年の46位から順位を落とした。なぜ低迷が続くのか。背景と改善への足がかりを探る。
高知県の「はちきん」神話と数字のからくり
土佐弁で負けん気の強い女性を意味する「はちきん」のイメージが残る高知県。経済分野の指数では2年連続1位だが、本当に男女平等が進んでいるのか疑問が残る。高知大学の佐藤洋子准教授(労働社会学)は、「指数は議論の材料として有意義だが、数字のからくりがある」と指摘する。
高知県は農業など1次産業の比率が高く、2022年度の1人当たり県民所得は約270万円で全国42位。一方、三重県は約323万円で13位。佐藤准教授は「ジェンダーギャップ指数は男女間の差だけを見る。高知の順位が高いのは、男性の賃金や就業率が低い影響が大きい」と説明する。
指数に含まれない格差
指数の項目には、女性に多い非正規雇用の割合や賃金格差が含まれていない。また、同じ正社員でも女性は案内や補助業務につきやすく、職務内容に差がある。これらの点を考慮すると、高知県内で平等が進んでいるとは断言できない。佐藤准教授は「順位が先行すると、他の女性労働の問題を見えなくしてしまう」と懸念する。
高知の優良企業「幸」の取り組み
高知市で障害者向けデイサービスを運営する「幸」は、昨年、男女共同参画推進企業表彰に選ばれた。10年以上前から正社員とパートの賃金体系を一元化し、育児や介護による休業後もパートで復帰しても役職や階級を維持できる。役職手当は分割して時給に上乗せする。
中平武志社長(44)は、自身が就職氷河期に派遣社員として働いた経験から「頑張っても給料が上がらないのはおかしい」と待遇改善に取り組んできた。制度や業務を工夫し、男女問わずキャリアを築ける組織を実現。男性育休の取得率は100%で、「労働人口が減る中、女性の働き方を改善することは会社の結果にもつながる」と話す。
山本知美さん(40)は4歳と10歳の姉妹を育てながら、係長としてパートで復帰し、子どもの成長に合わせて正社員に切り替えた。「普段から女性も男性も頑張っている姿を見るので、自分もと思えた」と語る。
三重県の課題:製造業と家事負担の偏り
佐藤准教授は、三重県が最下位の背景として「製造業が強い点は大きい」と指摘。しかし「男性の賃金が高いから」だけではないと付け加える。共働きの女性が家事や育児、介護にかける時間は週平均284分で全国2番目に長く、男性は50分。佐藤准教授は「男性の長時間労働は女性の無償のケアに支えられている」と説明し、「仕事は男性、家庭は女性」という性別役割分業の意識が強いと警告する。
女性活躍推進の本質を問う
全国の自治体が進める女性活躍推進は、少子化対策や経済活性化を掲げることが多い。佐藤准教授は「施策自体は良いことでも、本来の意味からずれている」と違和感を表明。平等の実現より子どもを増やすことに重点が置かれていないか疑問を呈し、「一人一人の人権が守られることを基本に置くべきだ」と訴える。



