父親の絵本読み聞かせが子どもの発達に広範な好影響 東北大が大規模調査で実証
絵本の読み聞かせは、子どもの言語能力だけでなく、運動能力や社会性を含む心身の発達全般に好影響を与えることが、東北大学を中心とする研究チームの大規模調査で明らかになった。特に父親による読み聞かせの効果が注目される中、全国約3万7千組の親子データを分析した結果、読み聞かせの頻度が高いほど子どもの発達が促進されることが統計的に確認された。
5つの発達領域すべてで有意な向上が確認
研究チームは、環境省が実施する「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータを活用。2011年から2014年にかけて登録された全国の親子約3万7千組について、1歳から3歳時点での保護者による絵本読み聞かせの頻度と、子どもの発達進度の関係を詳細に分析した。
読み聞かせの頻度は、「頻繁に(週5回以上)」が全体の約30%、「時々」が約60%、「ほとんどない」が約10%という分布だった。子どもの発達は、国際的な指標に基づく5つの領域で評価され、各領域は60点満点で測定された。
- コミュニケーション:言葉による意思疎通能力
- 粗大運動:走る、跳ぶなど体の大きな動き
- 微細運動:手先を使う細かい動き
- 問題解決:おもちゃの使い方を考えるなどの思考力
- 個人―社会:対人関係や生活習慣の形成
読み聞かせ頻度が高いほど発達スコアが上昇
分析結果によると、3歳時点での発達スコアは、5つの領域すべてにおいて、保護者による読み聞かせの頻度が高くなるほど点数が向上する傾向が明確に表れた。特にコミュニケーション領域では、読み聞かせを「頻繁に」行っているグループが「ほとんどない」グループと比較して、5.5点も高いスコアを示した。
その他の領域でも、読み聞かせ頻度の高いグループは1.6点から4.8点の範囲で統計的に有意な差が見られ、絵本の読み聞かせが子どもの多面的な発達に貢献していることが裏付けられた。研究チームは、この効果が読み聞かせ自体の直接的な影響であることを強調しており、親子の接触時間の長さなどの要因を排除した分析を行っている。
発達の遅れが疑われる子どもにも改善効果
さらに注目すべきは、発達の遅れが疑われる子どもに対しても、継続的で頻度の高い読み聞かせを行うことで、大幅な改善効果が確認された点である。研究では、絵本の読み聞かせが子どもの認知発達や情緒的成長を促すメカニズムについても言及しており、日常的な育児活動の重要性を改めて浮き彫りにしている。
専門家からは、デジタル機器を介した絵本閲覧が増える現代においても、紙の絵本ならではの利点——手触りを楽しめること、仕掛けで立体的に楽しめること、ページを行き来できる自由度の高さ——が子どもの発達に寄与する可能性が指摘されている。この研究結果は、小児科学の専門誌に掲載され、育児支援政策や家庭教育の在り方に新たな知見を提供するものと期待されている。