米国とイスラエルによるイラン攻撃から28日で2カ月が経過した。停戦協議は難航し、ホルムズ海峡の事実上の封鎖によって原油の供給不安が続いている。静岡県内の医療機関からも、先行きを案じる声が上がっている。
聖隷三方原病院で手袋とエプロンの新規受注停止
浜松市内で最大規模となる約900床を有する聖隷三方原病院(中央区三方原町)では、イラン攻撃後に複数のメーカーから石油由来のプラスチック製手袋とエプロンの新規受注を停止するとの連絡が相次いだ。さらに、今後の値上げや納期の遅れが生じる可能性も通知された。
これらの医療資材は、患者への採血や注射、傷口の処置、排せつ介助など、さまざまな場面で医療スタッフが使用する。感染対策のため、すべて使い捨てで患者ごとに交換されており、同病院では1カ月間に手袋約58万枚、エプロン約14万枚を消費している。
資材課の萩原和明課長は、「医療提供に不可欠な必需品です。現時点では必要量を確保できていますが、この状況が長引けばどうなるか、不安は大きい」と語る。
国の備蓄放出も「氷山の一角」
国は医薬品や医療機器、医療物資の確保に向けて対策本部を設置。医療機関からの要望が多い手袋については、国の備蓄分5千万枚の放出を決定した。5月中に配送体制を整え、必要に応じて追加放出する方針だ。
萩原課長は「国の備蓄放出は安心材料になる」と評価する一方で、「手袋は氷山の一角にすぎない」と指摘する。石油由来の製品は注射器、カテーテル、輸液ルートなど多岐にわたるためだ。
「すべてを国が備蓄するのは現実的ではなく、輸入に頼らない製造体制もすぐには実現できません。現時点では、不足する原材料を医療資材メーカーに優先的に供給することが必要だと思います」と述べた。
施設管理にも影響、ボイラー燃料を都市ガスに切り替え
原油供給不安の影響は施設管理にも及んでいる。3月以降、院内のボイラーと発電機の動力となる重油の確保が困難になった。入浴や厨房の調理、医療器具の滅菌などに使用するボイラーは、都市ガスに切り替えてしのいでいる。しかし、冷房の使用で消費電力が一時的に増える夏場に稼働させる発電機の燃料は、重油のみだ。
施設課の大野利幸課長は「この状態が夏まで続くなら、電力会社と電気使用量を増やす契約に変更することも検討しなければなりません。光熱費が上がることになり、コスト面でも大きな影響が出る」と頭を抱えている。



