コロナ5類移行3年、高齢者施設に緊張感続く リスク回避へ医療関係者が訴え
コロナ5類移行3年、高齢者施設に緊張感 医療関係者が訴え

新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行してから3年が経過した。全国の感染者数は減少傾向にあり、日常生活における緊張感は薄れつつある。しかし、高齢者施設では現在も感染防止対策への警戒が続いている。高齢者や基礎疾患のある人は、感染による死亡を免れても、肺炎などの合併症で衰弱したり、回復後に認知機能が低下したりするケースが少なくない。世界を揺るがした感染症との闘いに終わりは見えない。

高齢者施設の現状

千葉県市川市の特別養護老人ホーム「親愛の丘市川」では、約120人の入居者が生活している。同施設では5類移行後も含め、これまで数回のクラスター(感染者集団)が発生。コロナ感染が原因で複数の入居者が死亡し、肺炎など間接的な理由を含めるとさらに多くの人が亡くなった。

千野哲孝施設長は「コロナが施設に入ると、重症者や死亡者が他の感染症より多く出る。要介護度が高い人が多く、対策を厳しくせざるを得ない」と現状を語る。

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徹底される感染対策

再発防止のため、現在も感染対策は徹底している。職員は毎日出勤時と退勤時に体温や体調を確認。手指消毒のほか、食事は壁に向かった席で黙食を続けている。勤務中はマスクを着用し、施設外でも人混みでのマスク着用を指導している。

デイサービスの利用者は対面を避け、一方向を向いて活動。面会の制限は緩和しつつあるが、コロナ前のように入居者の部屋で行うのではなく、部屋の外に設けた所定の場所でのみ認めている。

流行が小さくても対策は緩められない

同施設では、2025年から2026年にかけての冬のシーズンは単発の感染はあったものの、全体には広がらずに済んだ。しかし、千野さんは「流行が小さくなっても対策は緩められない」と話す。

高齢者施設でのコロナを含む感染症対策については、厚生労働省が2020年に手引を作成した。ただし、入居者の状態や部屋の構成などは多様で、具体的な運用や対策の程度は各施設の判断に委ねられている。

長崎大病院総合感染症科の泉川公一教授は「特に流行期は油断せず、施設に出入りするみんなで対策してほしい。流行状況を見ながら、過度に制限しないなどめりはりをつけることも重要だ」と指摘する。

高齢者への深刻な影響

全国の感染者数は減少傾向にある一方、死者数は他の感染症に比べて圧倒的に多い状況は変わらない。肺炎や基礎疾患の悪化など関連の死者数はさらに膨らむとみられる上、最悪の事態を免れても心身に深刻な影響を残すことが分かってきている。

関西医科大の宮下修行教授(呼吸器学・感染症学)は「高齢者がコロナから肺炎になると、要介護やフレイル(虚弱)に陥ってしまう。認知症発症にもつながり、長期間の注意が必要だ」と特に肺炎の危険性を訴える。

コロナに伴う肺炎は、同時感染した細菌によるものや誤嚥性肺炎が近年多くを占めるという。宮下さんらの研究では、コロナ感染で誤嚥性肺炎を併発した高齢患者は、退院時に51.6%が日常生活での基本動作に関わる指標が低下。1年後も、うち約80%で低下が続いていた。

ワクチン接種の重要性

こうしたリスク回避に有効な切り札がワクチンだが、接種率は低迷している。宮下さんは「元気だと思っていても免疫の低下で肺炎などになりやすいのが65歳以上だ。健康寿命を延ばすためにも、ワクチンなどで自らを守る取り組みを続けてほしい」と呼びかけた。

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