はしか(麻疹)の感染が全国的に急拡大している。2026年の感染者数は4月19日時点で362人に達し、過去10年で2番目に早いペースでの拡大となっている。特に中部9県では、愛知県で集団感染が発生し、全国で5番目に多い感染者数を記録した。感染力が極めて強いため、人の移動が増える大型連休を契機にさらなる感染拡大が懸念されており、専門家は予防策の徹底を呼びかけている。
はしかの感染力と症状
はしかは、せきやくしゃみだけでなく、空気中を漂うウイルスを吸い込むことでも感染する。原因となる麻疹ウイルスの感染力はインフルエンザの約10倍とされ、免疫を持たない集団に1人の感染者がいると、12~18人に感染が広がると推定されている。家庭内など閉鎖空間では、免疫がない人の約9割が感染するという報告もある。
主な症状は、感染から10~12日間の潜伏期間を経て、高熱や発疹が現れる。重症化すると肺炎や脳炎を併発し、死に至るケースもある。特に乳児や妊婦は重症化リスクが高く、注意が必要だ。現在のところ、特効薬は存在しない。
今年の感染状況
国立健康危機管理研究機構のデータによると、今年の感染者は10~30代が全体の7割を占める。同機構の砂川富正・応用疫学研究センター長は「2回のワクチン接種が十分でなかった人を中心に感染が広がっており、学校での集団感染も報告されている」と指摘する。地域別では東京都が最多で、関東地方で感染者が目立つほか、鹿児島県でも集団感染が発生し、全国3番目の感染者数となった。
世界的には、インドネシアやインドなどのアジア諸国を中心に流行が続いており、先進国にも拡大している。砂川氏は「これらの国から日本にウイルスが持ち込まれ、感染が広がっている」と分析する。
ワクチン接種の重要性
予防には、2回のワクチン接種が有効とされている。日本では1歳と就学前の計2回が定期接種の対象だが、2024年度の接種率は目標の95%を下回る91%にとどまった。同機構によると、2回接種しても感染するケースはあるが、症状は非常に軽く、周囲への感染拡大は少ないという。
30代後半から50代の世代は、1回しか接種を受けていない人が多い。この世代は全額自己負担(1万~1万5千円程度)で麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)の追加接種が可能だ。感染者と接触した可能性がある場合、72時間以内に接種すれば発症を防げる可能性がある。
大型連休を迎え、砂川氏は「接種歴がなく、発熱や発疹がある場合ははしかの可能性を考え、まず医療機関に連絡した上で受診し、公共交通機関の利用は避けてほしい」と呼びかけている。また、流行地域への渡航を予定している人は、接種歴がない場合や不明な場合は、渡航前にワクチン接種を受けることが重要だ。
中部9県の状況
国立健康危機管理研究機構によると、中部9県の感染者数(4月19日時点)は、愛知県が23人で最多、次いで長野県3人、滋賀県2人、岐阜県、三重県、静岡県が各1人。石川県、富山県、福井県はゼロだった。愛知県の感染者数は前年同期の約4倍に増加し、過去6年で最多を記録した。
愛知県では2月、東三河地域の県立高校で生徒らの集団感染が確認され、感染者が急増した。学校は約2週間の学年閉鎖措置を講じ、感染拡大は収束した。県内で感染した10~50代の23人のうち、半数以上の15人が1回以上のワクチン接種を受けていたが、5人は未接種、3人は接種歴を把握していなかった。県は重症化や感染拡大を防ぐため、ワクチン接種を引き続き呼びかけている。
緊急のワクチン接種が可能な医療機関は、厚生労働省の医療情報ネット「ナビイ」で検索できる。



