成年後見制度において、認知症や知的障害などで判断能力が不十分な人の財産管理や生活を支援するため、本人や親族に代わって市区町村長が家庭裁判所に利用開始を求める「首長申立」が、2025年に制度開始以来初めて1万件を超えたことが、最高裁の統計で明らかになった。全体の申立件数の約4分の1を占めるに至っている。
首長申立の増加傾向
最高裁の統計によると、現行の成年後見制度が始まった2000年度には、申立人の大半は子や兄弟姉妹、配偶者などの親族だった。首長による申立はわずか23件にとどまっていたが、その後増加の一途をたどり、2025年には1万139件と過去最多を記録した。
2025年の全申立件数は約4万3000件。首長による申立が23.7%を占め、本人からの24.8%に次ぐ第2位の割合となった。その他は子や兄弟姉妹などの親族が続いている。
背景にある高齢者の孤立
首長申立は、身寄りがない、あるいは親族による支援が期待できない場合が対象となる。背景には、孤立する高齢者の増加があるとみられる。この制度はセーフティーネットとしての機能を果たす一方で、本人や親族から「自治体の一方的な判断で利用を開始させられた」と訴えられるケースも生じている。
成年後見制度は、判断能力が不十分な人の権利を守るために重要な役割を果たしているが、首長申立の急増は、家族や地域の支援体制の脆弱さを浮き彫りにしている。専門家は、制度の適切な運用とともに、高齢者を孤立させない社会づくりの必要性を指摘している。



