三重県名張市が発行する「広報なばり」の2025年10月号が、全国広報コンクールの「広報紙(市部)」部門で最高位となる総務大臣賞に輝いた。同市には分娩(ぶんべん)施設がなく、その現状を正面から取り上げた特集が高く評価された。
特集の内容と評価
特集では、妊婦・乳幼児健康相談や産後ケアといった基礎情報に加え、遠方への妊婦救急搬送を想定し、分娩の知識と技術向上に取り組む名張消防署の研修会の様子を掲載。助産師や救急救命士らへのインタビューを通じて、それぞれの出産や子育ての経験、支援への思いも紹介した。
市内では2025年1月、唯一分娩に対応していた医療機関が取り扱いを停止。隣の伊賀市を含む伊賀地域でも、分娩可能な医療機関は現在1カ所のみとなっている。県全体でも出生数減少に伴い分娩施設が減少している現状を図やグラフで分かりやすく説明した。
同部門には63点の応募があり、審査員からは「住民の不安解消と子育ての楽しさを見事に表現している」と評価された。北川裕之市長は「広報担当者の企画力や取材力だけでなく、現場で頑張っている人たちの取り組みも評価された結果だ」と喜びを語った。
担当者の思いと効果
広報なばりを担当する市広報シティプロモーション推進室の高嶋義典係長は「すぐに市内での分娩再開は難しくても、不安を減らすことはできると考え、特集を企画した」と説明。同号発行後には、掲載した取り組みの利用者が増加するなどの効果も見られたという。
受賞を記念し、北川市長や職員らが喜びを分かち合った。名張市の広報活動が、地域の課題に向き合い、住民の声に寄り添う姿勢を全国に示す形となった。



