横浜の日本語支援拠点「ひまわり」、来日直後の子どもに言葉と生活習慣を教える居場所に
日本で働く外国人の増加に伴い、外国にルーツを持つ子どもが横浜市でも増加している。市内に3カ所設置されている日本語支援拠点施設では、日本に来たばかりの児童・生徒に対して、日本語の習得や日本の生活習慣の理解を促し、学校生活への円滑な適応を支援している。
「はなぐみ」の授業で言葉の意味を理解する子どもたち
2026年1月8日、横浜市中区にある日本語支援拠点施設「ひまわり」では、小学1年生から3年生を対象とした「はなぐみ」の授業が行われていた。中国とフィリピンから来た男女6人の児童が、緊張した面持ちで授業に臨んでいた。
担当する山下加奈先生は、身ぶり手ぶりや表情を駆使し、全身を使って子どもたちと向き合っていた。「ランドセル、ある?ない?」「うわばき、ある?ない?」と、イラストが描かれたカードを手に、一人一人の持ち物を指さしながら問いかける。このようなやりとりを繰り返すうちに、児童たちは「ある」という言葉の意味を理解したようで、硬かった表情がほころび、「ある!」と声をそろえて答えた。
掃除に用いる道具が書かれたカードを使ったクイズにも取り組み、日常生活で必要な日本語を学ぶ機会を提供している。この施設では、言葉だけでなく、日本の学校生活に必要な習慣や文化も教え、子どもたちが自信を持って社会に参加できるようサポートしている。
外国にルーツのある子どもの増加と支援の必要性
横浜市では、外国にルーツを持つ子どもの数が増えており、日本語支援拠点施設の役割が重要性を増している。これらの施設は、子どもたちが突然の環境変化に対応し、言葉の壁や文化の違いを乗り越えるための「居場所」として機能している。
国士舘大学教授で移民政策が専門の鈴木江理子氏は、視点として「国境を越えた子どもの移動のほとんどが大人の都合によるものだ」と指摘。ある日突然、自分の「棲み処」が変わり、言葉もわからず、文化習慣も異なり、親しい友人もいない空間に投げ出される子どもたちの不安や恐怖、悔しさは計り知れないと述べている。
一方、弁護士で米国ロースクール実務家教員の杉山日那子氏は、「ひまわり」の「はなぐみ」の子どもたちが、将来日本社会で活躍し、多くの価値をもたらす姿が想像されるとコメント。自身が教える米国での経験を踏まえ、多様な背景を持つ人材の育成が社会の発展に寄与するとの見解を示した。
記者自身の経験から見た日本語習得の困難さ
この記事を執筆した記者(24歳)も、小学4年生の時に家庭の事情でロシア北西部の州から日本に移り住んだ経験を持つ。生まれは日本だが、当時は日本語がほとんどできなかった。田んぼに囲まれた茨城県の公立小学校に登校した初日、クラス全員が机を中央に寄せて自己紹介が始まったが、一言も理解できないまま、ただ座っているしかなかったという。
漢字ドリルを泣きながら進めた経験から、日本語支援の重要性を痛感している。外国にルーツのある子どもたちが、適切な支援を受けながら、日本の社会に溶け込んでいく過程は、個人の成長だけでなく、多文化共生社会の実現にもつながると強調している。
横浜市の日本語支援拠点施設は、こうした子どもたちの学びと成長を支える重要な役割を果たしており、今後のさらなる拡充が期待されている。



