麻雀で紡ぐ新たな絆 聖学院大生が広める健康麻雀の輪
埼玉県上尾市にある聖学院大学で、学生たちが「健康麻雀ボランティア会」を結成し、地域の高齢者施設を定期的に訪問しています。この活動は、麻雀を通じて世代を超えた交流を促進し、従来の麻雀に対するネガティブなイメージを一新することを目指しています。
賭けずに楽しむ麻雀の新たな可能性
「賭けない、飲まない、吸わない」を合言葉に掲げる健康麻雀は、単なる娯楽を超えた社会的意義を持っています。聖学院大学心理福祉学科1年の佐藤柊弥さん(19歳)は昨年夏、このボランティア会を設立しました。佐藤さんは「麻雀は高齢者の方と非常に相性が良い」と強調します。体力的な負担が少なく、誰でも気軽に参加できる点、そして運の要素が実力差を埋める可能性がある点が特徴です。
特に高齢者世代は「麻雀全盛の時代を生きてきた人たち」であり、施設への通所動機づけにもなると佐藤さんは指摘します。2月下旬には、デイサービス「リハビリホーム一歩」を訪問し、利用者たちと和気あいあいと対局を繰り広げました。
雀卓が生む世代を超えた対話
約40年ぶりに麻雀を楽しんだという69歳の男性は「学生の頃は夢中になって打っていた。若い人は強いね」と笑顔で語ります。麻雀歴が半世紀以上という小野田桂子さん(86歳)は、戦後の家族との思い出を振り返りながら「若い人と対戦すると気持ちが新鮮。賭け事ではなく、どう勝つかを考えるのが楽しい」と話します。
学生側の3年生、小高裕貴さんも「人と関わることが学びにつながる」と、この世代間交流の価値を実感しています。麻雀卓を囲むことで、自然と会話が生まれ、お互いの理解が深まる様子が伺えます。
麻雀が変えた一人の青年の人生
佐藤柊弥さん自身、中学校時代に不登校を経験し、通信制高校の松実高等学園(春日部市)に進学しました。同校には全国でも珍しい健康麻雀部があり、佐藤さんはここで麻雀と出会い、「狂ったように」のめり込みました。
「麻雀は相手がいないと成立しないゲームです。人と話すのが得意ではなかった私でも、対局中は自然に会話が生まれることがありました」と佐藤さんは振り返ります。麻雀を通じて高校生活に前向きに取り組むようになり、2年生では部長を務めるまでに成長しました。
「麻雀があるから学校に行こうと思えた。麻雀に人生を変えられた」と語る佐藤さんは、プロ雀士を夢見つつも、福祉を学べる大学への進学を選択しました。不登校時代に支えてくれた大人たちへの憧れがその背景にあります。
広がる健康麻雀の輪
現在、健康麻雀ボランティア会には15人のメンバーが在籍し、多くが福祉を学ぶ学生たちです。活動は主に高齢者施設への訪問が中心ですが、今後は中高生との交流も視野に入れています。
佐藤さんは「交流や競技といった多面的な麻雀の魅力を知ってほしい。賭け事やたばこ、お酒といった悪いイメージで固まっている人にこそ、健康麻雀の可能性を伝えたい」と熱く語ります。
上尾市出身の佐藤さんは、小学校高学年時に学童保育で流行った「ドンジャラ」というゲームを通じて麻雀に興味を持ちました。父親に「ドンジャラは家にないの」と尋ねたところ、麻雀牌が出てきたのがきっかけです。現在も雀荘を利用する際は、賭け雀荘を避け、「健康麻雀」や「ノーレート」を掲げる店を選んでいます。
聖学院大学の学生たちが始めたこの取り組みは、麻雀を単なる娯楽から、世代をつなぐコミュニケーションツールへと昇華させています。今後も地域に根差した活動が期待されます。



