在外邦人の投票用紙が投開票日翌日に届く事態 ネット投票導入を求める署名活動が活発化
在外邦人投票用紙が翌日到着 ネット投票求める署名活発化

在外邦人の投票用紙が投開票日翌日に届く異常事態

海外に居住する日本人が国政選挙に参加する「在外投票」において、投票用紙が投開票日の翌日に到着するという事態が発生している。オーストラリア南部のアデレードに住む自営業の野島美奈子さん(48)は、実際に投開票日翌日の9日に投票用紙が届いた経験を明かし、「海外から郵便投票できた方がどれくらいいたのか疑問だ」と強い懸念を示している。

在外投票の二つの手段とその課題

現在、在外邦人が利用できる投票手段は主に二つある。一つは大使館や総領事館などの在外公館での投票、もう一つは郵便による投票である。しかし、いずれの方法にも重大な課題が存在する。

在外公館での投票については、滞在国に在外公館が設置されていない場合、最寄りの公館まで国境を越えて数時間かけて移動しなければならない有権者も少なくない。さらに、投票用紙を投開票日に間に合わせて日本に送付する必要があるため、投票可能期間は国内と比較して大幅に短縮される。在外投票環境の改善を求める団体「海外有権者ネットワークNY」の調査によれば、今回の衆院選では平均4日程度の期間しか設けられなかったという。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

郵便投票の時間的制約と実態

郵便投票の場合、日本の選挙管理委員会に投票用紙の送付を郵送で請求し、届いた用紙に記入した後、投開票日前に再び郵送で返送する必要がある。この一連のプロセスには相当な日数を要し、特に今回の衆院選のように衆院解散から投開票までが戦後最短の16日間となった選挙では、実質的に投票が不可能な状況に追い込まれる有権者が続出した。

首相の解散表明後、ソーシャルメディア上では海外在住の有権者から「時間があれば飛行機で移動して投票に行くつもりでしたが、仕事があるために無理」「急すぎて郵便投票は間に合わない。最寄りの領事館まで片道5時間半は無理すぎた」といった悲痛な声が相次いで投稿された。

インターネット投票導入を求める署名活動始まる

こうした状況を受け、アメリカ在住の日本人男性がオンライン上で署名運動を開始した。その主張は明確である――在外投票にインターネット投票を導入すべきだという訴えである。背景には、海外有権者が長年にわたり高い投票ハードルに直面し続けてきた現実がある。

外務省のデータによれば、在外邦人の実質的な投票率は2%台にとどまっており、多くの有権者が制度的な制約によって選挙権を行使できない状況が続いている。投票用紙に同封されていた「必ず投票しましょう」というメッセージが、現実の困難さと対照的であることが問題の深刻さを浮き彫りにしている。

専門家の指摘と今後の課題

ニューヨーク在住のライターである堂本かおる氏は、「日本以外の国に住むと投票がとんでもなく難しくなり、人によってはほぼ不可能だ」と指摘する。また、立命館大学准教授で社会運動論が専門の富永京子氏は、「海外有権者ネットワークは長年活動を続けられてきた団体だが、進展が見られづらい状況が続いている」と現状を分析している。

総務省の公式サイトには「18歳になると、みんなの代表を選挙で選ぶことのできる権利が与えられます。これが『選挙権』です」と明記されている。しかし、この権利が海外に居住する日本人にとって実質的に機能していない現実が、今、大きな課題として浮上している。インターネット投票の導入可否を含め、在外邦人の選挙権保障に向けた具体的な対策が急務となっている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ