憲法学者が指摘する文民統制の弛緩
4月の自民党大会に陸上自衛隊の歌手が出演した問題をめぐり、慶応大学で憲法を担当する駒村圭吾教授(65)は、憲法の下での文民統制と自衛官の政治的中立性が揺らぐ危機が表れていると警鐘を鳴らす。インタビューで詳しく語った。
駒村教授は、まず「陸上自衛隊の『歌姫』が国歌を歌ったという言い方には強烈な違和感がある」と述べ、問題が祝祭的な空間でのセレブリティー登場として矮小化されることを懸念。自衛官という特別職の国家公務員のあり方が問われていると強調する。
文民統制の歴史と制度
文民統制とは、軍人ではなく民主的に選ばれた政治家が軍を統制する仕組み。日本では、敗戦直後の帝国議会で憲法9条の審議中、連合国極東委員会が66条の「文民条項」を挿入させた。内閣の閣僚は非軍人に限るとし、軍の民主的プロセスへの従属を示したが、文民統制そのものではなかった。
文民統制が制度化されたのは憲法公布から8年後の自衛隊創設時。最高指揮官は内閣の長である首相とされ、政治の優位が明確化。同時に、自衛隊が旧軍のように政治化するのを防ぐ必要があった。
重要なのは、自衛隊法と施行令で定められた自衛官の政治的行為への制約が、憲法に記されていない「政党」から距離を置くことを意識している点だ。党派性を排除し自衛隊の政治化を防ぐ要求が、戦後の文民統制に組み入れられた。
制服での歌唱は政治的行為
駒村教授は、自衛官が制服で党大会で歌うことは「特定党派への支援であり、政治的行為に当たる」と指摘。文民統制の観点からも問題が大きいと訴える。
この問題は、自衛隊の政治的中立性と文民統制の本質を問うものだ。今後の議論が求められる。



