福井県が特別職の退職金支給制限へ、セクハラ辞職の前知事問題を契機に条例改正案を提案
福井県は2026年3月3日、杉本達治前知事が県職員へのセクシュアルハラスメント行為を理由に辞職した問題を踏まえ、知事や副知事などの特別職が「懲戒免職相当」以上の不祥事で辞職した場合に、退職金の支給を制限したり返還を命じたりできるようにする条例改正案を県議会定例会に追加提案しました。
現行制度の限界と全国初の取り組み
現行の条例では、特別職の退職金支給を制限できるのは拘禁刑以上の刑事罰が確定した場合に限定されています。杉本前知事には6162万円の退職金が支給されており、県議会や市民から返納を求める声が強まっていました。
県人事課によれば、拘禁刑以上に限定せずに支給制限を可能とする条例は全国の都道府県で初めての試みとなります。この改正は、不祥事の重大性に応じた柔軟な対応を目指すものです。
改正案の具体的な内容と新たな条項
改正案では、以下のような新たな規定が盛り込まれています。
- 特別調査委員などが調査を進めている間は、退職金の支給を差し止められる条項を追加
- 在職中の不祥事が第三者委員などから「懲戒免職相当」と認定され、議会の議決を経た場合、最大で全額の支給を制限可能
- すでに辞職した場合でも、退職から5年以内に限り、在職中の行為が同様に認定され議決を経れば、退職金の返納を命令できる
これらの措置は、不祥事発生から時間が経過した後でも、適切な責任追及を可能とすることを目的としています。
石田嵩人知事の説明と今後の展開
石田嵩人知事は3日の本会議で、この条例改正案の提案理由について説明を行いました。知事は「特別職の責任の重さを踏まえ、不祥事に対する厳格な対応を制度化する必要がある」と述べ、県民の信頼回復に向けた取り組みの一環であることを強調しました。
県議会では今後、改正案の審議が本格化する見込みです。杉本前知事のケースを直接の契機としながらも、将来的な不祥事防止と透明性の高いガバナンスの確立を目指す内容となっています。
この動きは、地方自治体の特別職に対する倫理規定や報酬体系の見直し議論にも影響を与える可能性があり、全国的な注目を集めています。



